2024年12月報告

5. 内閣府景気ウォッチャー調査

11月の現状判断DI(季節調整値)は、前月差1.9ポイント上昇の49.4となった。

家計動向関連DIは、サービス関連が低下したものの、小売関連等が上昇したことから上昇した。企業動向関連DIは、製造業等が低下したことから低下した。雇用関連DIについては、低下した。

11月の先行き判断DI(季節調整値)は、前月差1.1ポイント上昇の49.4となった。

家計動向関連DI、企業動向関連DI、雇用関連DIが上昇した。

なお、原数値でみると、現状判断DIは前月差1.6ポイント上昇の48.2となり、先行き判断DIは前月差0.4ポイント上昇の48.4となった。

今回の調査結果に示された景気ウォッチャーの見方は、「景気は、緩やかな回復基調が続いている。先行きについては、価格上昇の影響等を懸念しつつも、緩やかな回復が続くとみている。」とまとめられる。

内閣府景気ウォッチャー調査
地域の景気に関連の深い動きを観察できる立場にある人々の協力を得て,地域ごとの景気動向を的確かつ迅速に把握し,景気動向判断の基礎資料とすることを目的とする。調査は毎月,当月時点であり,調査期間は毎月25日から月末である。本調査業務は,内閣府が主管し,下記の「取りまとめ調査機関」に委託して実施している。各調査対象地域については,地域ごとの調査を実施する「地域別調査機関」が担当しており,「取りまとめ調査機関」において地域ごとの調査結果を集計・分析している。

2.サプライチェーン関連記事抜粋令和6年11月1日~11月30日 ※下線に注目

 主題概要
1欧州ガス高 冬到来で再び地政学リスクも意識 アジア向けLNGに影響
2脱炭素「緑のアルミ」争奪:グリーンアルミニウム価格転嫁 模索の動き 再エネで製造
3サウジ、ファンド国内に軸脱石油依存へ産業育成 政府系140兆円 インフラAI重点
4ミャンマー武装勢力:レアアース採掘地を占拠ミャンマーは中国の「資源庫」 世界シェア3位:中国経由の供給網に懸念
5三菱重工、防衛・原発で追い風新政権の枠組み注視 防衛の受注が急増、原発も安定して伸びた
6韓国ポスコ「脱中国依存」に活路  EV向け、年500万トン計画 インド大手JSWと一貫製鉄所
7インド・タタ財閥、半導体が試金石に成長へ新興支援にも力 新体制始動、財閥後継にノエル氏
8日本製鉄の米社買収 審査再開USスチール:トランプ氏は反対公言 幹部「年内に完了」強調
9南米鉱物 官民で供給網日本・ペルー、首脳間で文書:日本から鉱山の環境管理や鉱石の不純物除去の技術提供
10AI知見、ヒト型ロボ駆る:エヌビディア基盤技術の覇権狙う 半導体と開発環境を一体提供
11重工三社、防衛25%増収今期、政府予算拡大で 傷んだ供給網・再生急務
12平時の技術で「高速」復旧大成建設、「技術室」が災害復興に知恵 工期短縮と安全確保を両立
13コマツ、蓄電池生産能力4倍鉱山の電動需要にらむ 米子会社、100億円投資
14バイオ技術で脱炭素ガスLPGの代替に35年に1割移行 クボタ:稲藁 古河電工:糞尿
15損保カルテル 課徴金20億円大手4社:計9件認定、商慣行是正へ 法令違反の基準公表
16ニッスイ、陸海二刀流磨く水産資源の争奪備え 陸上養殖エビ、今年度初の黒字化
17ランサム、供給元を絶て迅速摘発へ国際捜査 「フォボス」集団の中心人物逮捕
18アドテスト 調達テコ入れAI需要取り込み成長 半導体:安定供給へ長期契約
19ユニチカ、構造改革で後手870億円の金融支援要請 来夏までに繊維撤退発表
20EV電池リサイクル始動希少金属の海外流出防ぐ 日本化学産業、200億円で精製拠点
21インド アダニ問題:海外に波及仏エネ大手、投資凍結 ケニア、空港拡張中止
22インテルCPU牙城異変データ拠点向けAMD伸び逆転 過去最大2.5兆円赤字(7-9月)
23アマゾン3度目の調査公取委、表示優遇で値下げ要求疑い 欧米競争当局も問題視
24米ハリケーン、供給網襲うGM2工場停止、半導体向け稀少材料も 経済損失23兆円の試算
25サイバー防御に最強技術総務省:量子暗号の確立支援 東芝やNEC候補
26海水からCO2回収大気より容易に脱炭素 米新興や海洋機構:キャプチュラ
27非鉄でも脱炭素技術開発住友金属鉱山:ニッケル、水素製錬 DOWA:燃料にバイオマス
28コーヒーや天然ゴム急落コスト増予測の反動受け EU、森林規制一年延期案
29東南アジアを輸出・生産拠点に太平洋セメント、中国撤退で インドネシア、米豪向け
30脱炭素や越境決済に重点ASEAN、26年から5年計画 7億人市場統合へ加速
31ドコモ、国産優先を転換基地局:富士通から海外製 競争力強化へ1000億円
32ミネベアやレゴ 再エネ100%工場東南アジア:環境配慮前面に 調達先選別の動き対応

≪用語解説:記事内の用語と企業を確認しましょう≫

グリーンアルミニウム Green Aluminum
グリーンアルミニウムとは、製造から使用、リサイクルに至るまで、環境に配慮した方法で製造されたアルミニウムのことを指す。従来のアルミ製造工程では電力などのエネルギ―消費が高く、鉄や他の金属と比較しても、精錬時の二酸化炭素の排出量が大きいという課題があった。グリーンアルミニウムの製造では、水力や太陽光、風力といった再生可能エネルギーの利用やエネルギー効率の向上など、環境にやさしい技術が採用されている。また、アルミ材の素となる新地金の使用量を減らし、リサイクルアルミの使用率を高めることで、新地金を精錬する際のエネルギー消費を抑え、二酸化炭素の排出量を減らすことが可能になる。これらにより、製造段階での環境負荷が大幅に削減される。欧米では自動車業界を中心に低炭素素材の採用が進んでおり、アルミ製造メーカーでの開発をはじめ、ドイツの自動車メーカーBMWや米アップル社でグリーンアルミニウムが実際の製品に使用されている。日本においても、ヤマハ発動機がメインフレームやホイールといった2輪車用アルミニウム合金製部品の材料にグリーンアルミニウムを採用した。今後、電気自動車(EV)などの普及が見込まれる中で、アルミニウムの需要も更に高まることが予想される。
ミャンマー武装勢力、レアアース採掘地を占拠
世界3位のレアアース(希土類)産出国ミャンマーで、国軍に抵抗する武装勢力が主要な採掘地域を占拠した。レアアースは電気自動車(EV)向けなどで需要が高まる。同国産の大半を輸入・精錬する中国を通じたサプライチェーン(供給網)が揺らぎかねない。


ミャンマー武装勢力、レアアース採掘地を占拠 世界シェア3位 中国経由の供給網に懸念 - 日本経済新聞
AI知見、ヒト型ロボ駆る
米エヌビディアが10年近く取り組んできたヒト型ロボット分野の戦略が明らかになり始めた。頭脳となる半導体と開発環境をセットで有力メーカーに供給し、基盤技術の覇権を握る構えだ。ジェンスン・ファン最高経営責任者(CEO)の視線はすでに生成AI(人工知能)ブームの先に向かっている。

エヌビディアのAI知見、ヒト型ロボ駆る 半導体と開発環境を一体提供 基盤技術の覇権狙う - 日本経済新聞
重工三社、防衛25%増収
三菱重工業、川崎重工業、IHIの重工大手3社の防衛事業が拡大している。2025年3月期の防衛関連事業の売上高に当たる売上収益は3社合計で1兆5110億円と前期から25%増加する見通しだ。日本の防衛予算拡大が続くとの期待から市場の注目も高まっている。一方、防衛産業は低迷していた時期が長く、サプライチェーン(供給網)が弱体化するなど課題も多い。


重工3社、防衛25%増収 今期、政府予算拡大で 傷んだ供給網の再生急務 - 日本経済新聞
コマツ、蓄電池生産能力4
コマツは米子会社の蓄電池生産能力を現状から4倍に引き上げる。増産分は現在の主要顧客である自動車用に加え、鉱山機械向けにも一部を振り向ける。鉱山現場は資源メジャーの要請で脱炭素のニーズが強まっている。鉱山での電動機械の普及に備え、バッテリーの供給体制を強化する。


コマツ、蓄電池生産能力4倍 米子会社、100億円投資 鉱山の電動需要にらむ - 日本経済新聞
損保カルテル 課徴金20億円
損害保険会社が企業向け保険で事前に価格調整していた問題で、公正取引委員会は31日、大手4社に独占禁止法違反(不当な取引制限)で行政処分を出した。9件のカルテル・談合を認定し、課徴金総額は20億円を超えた。問題の背景に業界全体にはびこる商慣行があるとして、企業向け保険の取引に関する独禁法上の基準も公表した。


損保カルテル、大手4社に課徴金20億円 公取委が計9件認定、商慣行是正へ 法令違反の基準公表 - 日本経済新聞
ランサム、供給元を絶て
日米韓などの捜査当局が「Phobos(フォボス)」と名乗るランサムウエア(身代金要求型ウイルス)集団の中心人物とみられる男を逮捕した。ウイルスを販売するグループで、大阪急性期・総合医療センター(大阪市)への攻撃にも関与したとされる。インフラを含め各集団による被害は世界で広がっており、攻撃手段の供給元を絶つ狙いがある。


ランサム、供給元を絶て 迅速摘発へ国際捜査 「フォボス」集団の中心人物逮捕 被害、世界で昨年11億ドル - 日本経済新聞
アドテスト 調達テコ入れ
アドバンテストが半導体製造装置のサプライチェーン(供給網)をてこ入れする。中核部品の主要な半導体で長期の調達契約を結び、装置の生産委託先や部品取引先に生産能力を引き上げてもらう。供給網の寸断リスクなどに備え、旺盛な人工知能(AI)需要を着実な成長につなげる。


アドテスト、調達てこ入れ AI需要取り込み成長 半導体 安定供給へ長期契約 - 日本経済新聞
EV電池リサイクル始動
電気自動車(EV)やハイブリッド車(HV)で使ったリチウムイオン電池を再利用する動きが日本で始まった。住友金属鉱山や日本化学産業は2030年までに拠点を設け、ニッケルなどの使用済み金属を精製して新車向けに納める。資源に乏しい日本は電池向け金属の確保が喫緊の課題だ。希少金属の海外流出を防ぐ。


EV電池リサイクル始動 住友金属鉱山は日本で精製施設 - 日本経済新聞


EV電池リサイクル始動 住友金属鉱山は日本で精製施設 - 日本経済新聞
インド アダニ問題:海外に波及
インドの新興財閥アダニ・グループを巡る贈収賄疑惑の影響が広がっている。米国当局による同社幹部起訴を受け、仏エネルギー大手トタルエナジーズは新規出資を凍結した。取引停止が相次ぎ、インドや各国のインフラ整備に響く恐れがある。


印アダニ問題、海外事業に波及 仏エネ大手、投資凍結 ケニアは空港拡張中止 - 日本経済新聞
アマゾン3度目の調査
公正取引委員会は26日、アマゾンジャパン(東京・目黒)を独占禁止法違反の疑いで立ち入り検査した。通販サイトの出品者に表示優遇の条件として不当に値下げなどを要求していたもようだ。同社への立ち入りは3回目で、競争力を高めるため繰り返し公正な競争を阻害していた可能性がある。表示を巡る商慣行は海外の競争当局も問題視しており、同社は対応が避けられない。


アマゾンに公取委が3度目の調査 表示優遇で値下げ要求疑い 欧米競争当局も問題視 - 日本経済新聞