2024年12月報告

4. 中国の製造業景況感

財新/S&Pグローバルが2日発表した11月の中国製造業購買担当者景気指数(PMI)は51.5と前月の50.3から上昇し、5カ月ぶりの高水準となった。ロイターがまとめたアナリスト予想の50.5も上回った。海外からの受注を含む新規受注が生産の堅調な拡大につながり、製造業者の楽観度を8カ月ぶりの高水準に押し上げた。中国国家統計局が11月30日に発表した製造業PMIも景況拡大・悪化の分かれ目となる50を上回った。 新規受注は2023年2月以来最も速いペースで増加した。特に新規輸出受注は4カ月ぶりのプラスとなり、サブ指数は7カ月ぶりの高水準を記録。受注は主に投資財と中間財で拡大し、消費財は僅かに減少した。新規受注増の理由としては、基調的な需要の改善、新製品の発売、米国の選挙を受けた在庫積み上げなどが挙げられた。

中国企業は、経済状況の改善と政府の政策が今後1年間の売り上げを下支えするとの期待感を示している。2カ月連続で受注残は積み上がった。ただ、人員削減ペースは和らいでいるものの、企業は雇用に慎重な姿勢を崩していない。財新智庫のエコノミストは「景気低迷は底を打ちつつあるように見えるが、更なる足場固めが必要だ」と指摘。雇用の縮小が続いていることを挙げ、景気刺激策の効果がまだ労働市場に表れていないとし、雇用拡大に対する企業の自信を強化する必要があると述べた。原材料高に伴い、平均投入価格が過去5カ月で最も速いペースで上昇する中、コスト懸念も高まった。その結果、企業はコスト負担を顧客に転嫁し、販売価格は23年10月以降で最も急速な上昇を見せた。

中国国家統計局PMIは製造業3200社を対象に調べる。新規受注や生産、従業員数など項目ごとに調査する。50を上回れば前月より拡大、下回れば縮小を示す。
PMI(中国製造業購買担当者景気指数)
全国の製造業約820社の購買担当者を対象にしたアンケート調査。生産や受注について50を上回ると拡大,下回ると減少を示す。非製造業には建設,郵便,ソフトウェア,航空,鉄道,小売り,ケータリングが含まれる。
2009年設立の財新/S&Pグローバルの月例まとめ
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