2024年5月報告

2. 米非製造業景況感指数:非製造業回答者の声

Services PMI® at 49.4%

April 2024 Services ISM® Report On Business®

 Index指数3月4
1.Business Activity Index事業活動指数57.450.9
2.New Orders  Index新規注文指数54.452.2
3.Employment Index雇用指数48.545.9
4.Supplier deliveries indexサプライヤー出荷指数45.448.5

This report reflects the U.S. Department of Commerce’s recently completed annual adjustments to the seasonal adjustment factors used to calculate the indexes.

(本報告書は米国商務省の直近に発表された年間調整を本指数計算での季節調整済み要因に反映している)

【解説】 米サプライマネジメント協会(ISM)が発表した4月の非製造業(サービス業)景気指数は、49.4(前月51.4)と市場予想の52.0への上昇に反して、前月比2.0%ポイント低下し、22年12月の49.2以来、16ヵ月ぶりに50を下回った。活動指数が急低下したほか、雇用、新規受注が低下し全体を押し下げた。

ただし、新規受注、活動指数が50台を維持したうえ、拡大した業種数が18業種中12業種(前月12業種)と多く、非製造業は拡大モメンタムを維持していると判断される。インフレ面では、仕入価格指数が高い水準に急上昇しており、根深いインフレ圧力を示した。大半の回答者が「インフレと地政学問題が引き続き懸念事項」と指摘した。

指数が50を下回ると、米経済の約3分の2を占める非製造業部門の縮小を示す。今回の結果は、堅調なペースで拡大していた米経済がいくらか勢いを失い始めていることを示した。需要が減速しているにもかかわらず4月の投入価格指数は59.2と前月の53.4から大幅上昇し、今後のインフレ見通しにとって気がかりな兆候を示した。

米連邦準備理事会(FRB)は年内に政策金利の引き下げを始める見通しだが、物価上昇率をFRB目標の2%に鈍化させる道のりが停滞している中で疑問視する見方が依然ある。

今回の落ち込みが一回限りのものになるのか、それとも継続的な景気後退の始まりとなるのか、次回の結果にも注目して見極めることが必要だろう。これに対して、ISM非製造業景況調査委員会のアンソニー・ニエベス委員長は、「インフレや地政学の動向は当時とは異なっており、1ヶ月で好転する保証はない」と述べつつも、「基準値の50%を下回っているからといって過度に興奮する必要もない」と記者会見で語った。

サービス業回答者の声WHAT RESPONDENTS ARE SAYING

1Accommodation & Food Services 宿泊・飲食サービス食品・飲料のコスト削減は着実に進んでいるが、鳥インフルエンザが今後の価格設定に影響する可能性がある。鶏肉と卵は既に値上がりしている。IT分野では、価格は下がっていないが安定している。
2Construction 建設工事世界の地域によって異なるが、当社は、価格と納期の安定性という点で、市場の軟化を見始めている。入札者が妥当な入札価格の有効性を提示していることは、サプライチェーンの多くが需給均衡に近づいていることを示している。電気設備は依然、異常値である。
3Public Administration行政昨年の支出額と比較すると、インフレによって製品やサービスの単価が上昇している。
4Information 情報景気は引き続き軟調である。
5Management of Companies & Support Services 企業経営とサポートサービス当社は、原材料、特に化学品とその容器のコスト上昇、米国内外の貨物輸送費の上昇など、サプライチェーン上の課題を経験している。コンテナ不足がコストを上昇させサプライチェーンを遅らせている。
6Health Care & Social Assistance        医療・健康管理・社会福祉人件費とサービス費用の増加によるインフレ圧力に引き続き晒されているが、可能な限り相殺すべく利用節約を見つけることに努力している。
7Retail Trade      小売業伝統的に荷動きの鈍いこの時期、安定した需要は好ましい。価格も安定しており、サプライチェーンも堅調である。従業員の採用と維持が課題となっている地域もあるが、状況は危機的ではない。
8Utilities          公益事業建設、管理、技術・科学分野の労働力への需要が高い。真鍮製配管金具や電気機器・部品の納期は長くなっている。
9Arts, Entertainment & Recreation     芸術、娯楽、レクリエーション映画製作は回復しており、2024年後半には映画館の入場者数が増加するだろう。
10Wholesale Trade    卸売業市場全体は確実に減速している。当社事業は前年比、前月比ともに増加している。当社の高度な分析に基づき、その成長は新規顧客によるものであり、それは競合他社から市場占有率を奪っていることを意味する。