2024年5月報告

1. 米製造業景況感指数:製造業回答者の声

Manufacturing PMI® at 49.2%

April 2024 Manufacturing ISM® Report On Business®

  • New Orders and Backlogs Contracting

新規注文と受注残減少

  • Production Growing; Employment Contracting

生産増加;雇用減少

  • Supplier Deliveries Faster

サプライヤー出荷加速

  • Raw Materials Inventories Contracting; Customers’ Inventories Too Low

原材料在庫減少;顧客在庫過少

  • Prices Increasing; Exports Contracting; Imports Growing

価格上昇;輸出減少、輸入増加

【解説】

米サプライマネジメント協会(ISM)が1日発表した4月の米製造業景況感指数は49.2と前月比で1.1ポイント下がった。ダウ・ジョーンズまとめの市場予想(50.1)を下回り、好不況の分かれ目となる50も下回った。仕入れ価格の上昇に加えて政策金利の引き下げ想定が遠のき、業況の悪化に繋がっている。製造業は米経済の10.4%を占めており、指数が50を上回ると拡大を示す。3月は2022年9月以来、1年半ぶりに50を上回っていた。構成指数では、先行指標となる新規受注指数が49.1と、前月の51.4から低下。生産指数は51.3と、前月の54.6から低下した。一方、価格指数は60.9と2022年6月以来、1年10カ月ぶりの高水準。今年3月は55.8だった。4月の供給業者の納入を示す指数は48.9と、前月の49.9から低下した。50を下回ると工場への納品が速いことを示す。雇用指数は48.6と、前月の47.4から上昇した。

今回49.2を記録し、製造業は再び景気縮小圏に戻る結果となった。各項目を見ると、総合指数を構成する5要素(新規受注、生産、雇用、入荷遅延、在庫)の内、新規受注(51.4→49.1)と生産(54.6→51.3)の低下が総合指数低下の主な要因で、新規受注と生産からは需要状況が確認できるが、前回に比べて需要は軟化していることが分かる。これに対し、ISM製造業調査委員会のフィオーレ委員長は、「需要の改善は鈍化したが、依然として回復の初期段階にあり、状況改善の兆候が続いている」と述べており、調査回答者のコメントを見ても、強弱はあるものの需要は改善しつつあることが窺える。

米ISM製造業景況感指数
製造業約350社の購買担当者に対し受注や生産状況をアンケート調査により聞き取りし、月初めの第1営業日(その2日後に非製造業を公表)に公表している統計。日本の企業短期経済観測調査(日銀短観)に似た統計といえます。米主要統計の中でも最も早く月初めに発表されるため、市場関係者の注目度が高く、景気の先行指標とされています。一般に好不況の判断の境目とされる50%を割れると景気後退で、50%を超えると景気拡大と判断されます。GDPとの関連性を持たせるために2008年1月分の統計より算出方法が変更され、現在は「新規受注・生産・雇用・入荷遅延・在庫」の5項目(比率はそれぞれ20%)につき、「増加、同じ、減少」の回答結果をもとに算出する。民間調査機関13社の予測値(中心値)が前もって出回るので、リリース時にはそのギャップも重要になります。

製造業回答者の声WHAT RESPONDENTS ARE SAYING …

1Chemical Products 化学製品需要が回復し始めており、状況は改善している。新型コロナウイルスからの続行で急速に価格を引き上げたサプライヤーが疫病流行前の水準に戻るのが遅れているため、コストは引き続き大きな懸念材料となっている。
2Transportation Equipment 輸送機械2024年の販売は引き続き予想を上回る。商用車生産台数の落ち込み予測は回避されたようだ。事業生産高は依然、堅調であり、サプライチェーンはそれを支える能力を有している。国際的なサプライチェーンのリスクは最小限に抑えられているが、サプライヤーの倒産や破産の頻度は増加しているようだ。
3Food, Beverage & Tobacco Prod 食品・飲料・煙草注文の流れは安定している。当社ではよくある第4四半期の駆け込み需要の後、サプライチェーンネットワークの補充に時間がかかった顧客も数件あった。受注率は8月まで安定的に推移する見込みだ。
4Computer & Electronic Products         コンピュータ・電子製品中国では、当社の機器と技術に若干の市場改善の兆しが見られる。当社が期待していたよりも回復はまだ遅く、マクロ経済の不確実性は欧州と中東に、そして米国内ではインフレ圧力と次期大統領選挙への期待から景気不安定が存在している。
5Primary Metals   一次金属景気は安定し、受注も堅調だ。当社は、工場向けに新規事業の見積りを行っており、自動車の生産は引き続き平均化しているが、最大生産量には達していない。労働力は安定し、離職率はかなり低下している。インフレ圧力に対応するため、給与と時給は上昇している。
6Machinery           一般機械市況は確実に軟化している。有難いことに、当社の受注残は堅調で、今年を乗り切ることができるだろう。今年後半に予想されるように状況が好転すれば、当社は、事業継続の良い状態になるだろう。当社は食品・飲料業界向けの自動包装機器製造業であり、人手不足が続く中、当社の顧客は益々自動化を必要としている。
7Fabricated Metal Products        金属加工製品景気が減速し、ここ数ヶ月、徐々に落ち込んでいる。新規受注は昨年水準、又は今年の予算には達していない。
8Electrical Equipment, Appliances & Components     電気機器・家電・部品売上の変動が激しい。平均すると、当社の売上は横這いに見えるが、変動の激しさが気になる。
9Nonmetallic Mineral Products        非金属鉱物製品第1四半期を通して景気は好調を維持し、第2四半期も好調に始まった。商業建設は依然好調だが、地域では南東部が最も強い。
10Plastics & Rubber Products        プラスチック・ゴム製品当社の事業に影響を与える主な要因は、連邦準備制度理事会(FRB)による金利の取り扱いが不透明なことであり、これは顧客の事業に影響を与え、更に当社の事業にも影響を与える。