2025年1月報告

2. 米非製造業景況感指数:非製造業回答者の声

Services PMI® at 54.1%

December 2024 Services ISM® Report On Business®

 Index指数10月11月12
1.Business Activity Index事業活動指数57.253.758.2
2.New Orders  Index新規注文指数57.453.754.2
3.Employment Index雇用指数53.051.551.4
4.Supplier deliveries indexサプライヤー出荷指数56.449.552.5

This report reflects the U.S. Department of Commerce’s recently completed annual adjustments to the seasonal adjustment factors used to calculate the indexes.

(本報告書は米国商務省の直近に発表された年間調整を本指数計算での季節調整済み要因に反映している)

【解説】

米サプライマネジメント協会(ISM)が1月7日発表した2024年12月の米非製造業(サービス業)景況感指数は54.1と前月から2.0ポイント上昇した。ダウ・ジョーンズまとめの市場予想(53.4)を上回った。米個人消費がなお底堅い様子を示したが、トランプ次期米政権の関税引き上げへの不安の声も出ている。同指数は24年10月に56.0と2年3カ月ぶりの高水準をつけた後、11月は52.1に低下していた。12月は再び持ち直した形だ。好不況の分かれ目となる50は6カ月連続で上回った。ウェルズ・ファーゴ証券のエコノミストは「12月の上昇は依然として堅調なサービス業と価格圧力の粘り強さを示しており、25年の米連邦準備理事会(FRB)の利下げ軌道は困難となる可能性がある」と指摘する。主な項目では新規受注指数が54.2と0.5ポイント上昇した。上昇は6カ月連続。調査対象の企業からは「全体的なビジネスは依然として好調」(公益事業)との声が聞かれた。企業の支払うコストを示す価格指数は64.4と6.2ポイント上昇した。23年2月以来の高水準となった。米調査会社パンテオン・マクロエコノミクスは「サービス業の価格がここから下がる気配は乏しいことを示している」と指摘する。雇用を示す指数は51.4と0.1ポイント低下した。米証券ジェフリーズのエコノミストは「依然として50を上回っており雇用の堅調さを示している」と受け止める。20日に就任するトランプ次期大統領が貿易相手国への関税引き上げを公言する中、調査対象の企業からは影響を警戒する声も複数上がった。「関税の影響を見越して、供給網の多様化に向けて準備している」(宿泊・飲食サービス)、「関税や購買決定について多くの不確実性があり様子見している」(運輸・倉庫)との声が聞かれた。7日午前のISMサービス業景況感の発表後、市場では米金利上昇やドル高が進んだ。同日発表の24年11月の米雇用動態調査(JOLTS)で求人件数が市場予想を上回ったこともあり、雇用不安が和らぐなかでインフレ高止まりへの懸念が意識されてFRBの利下げ観測の後退に繋がった。米債券市場では長期金利の指標となる米10年物国債の利回りが一時4.69%台と24年5月上旬以来およそ8カ月ぶり高水準をつけた。政策金利の変動に敏感な2年物国債利回りは一時4.3%台と1週間ぶりの高水準となった。外国為替市場では米金利上昇でドルが買われた。対ドルの円相場は一時1ドル=158円台半ばと24年7月以来およそ半年ぶりの円安水準となった。

サービス業回答者の声WHAT RESPONDENTS ARE SAYING

1Accommodation & Food Services 宿泊・飲食サービス「関税とそれが事業に及ぼす影響を見越して、調達の多様化の準備を進めている。
2Construction 建設工事新規住宅建設は依然として金利と値ごろ感の問題によって妨げられている。次期政権による関税の脅威により、サプライヤーは1年以上の価格据え置きに嫌気が差し消極的になっている。プロジェクトは2年以上かかることもあり、サプライチェーン寸断が価格設定の混乱を招いた過去2021年、2022年と同様、予算編成が難しくなっている。
3Finance & Insurance 金融・保険コスト削減のために海外移転が増えそうだ。
4Health Care & Social Assistance健康管理・社会支援静脈注射点滴の継続的な不足により、一部の症例が解約か、遅延している。
5Information       情報次期政権が規制、税制、エネルギー政策に積極的な影響を及ぼし、経済改善に拍車をかけると概ね楽観視しているが、一方で関税動向については懸念しており、最善を期待している。
6Professional, Scientific & Technical Services 専門・科学・技術サービスインフレ水準は上昇しているように見えるため、利下げへの期待は薄らいでいる。
7Retail Trade       小売業全体的な活動は計画をやや上回っている。
8Transportation & Warehousing     運輸・倉庫関税や購買決定に関する不透明感が強い。様子見が多い。
9Utilities          公益事業全般的な業況は依然順調だ。2024年末が近づいており、年末準備が佳境、本格化している。
10Wholesale Trade      卸売業顧客の動きが鈍化しており、年末に向けて在庫を減らしているため、当社の売上が鈍化している。