2025年1月報告

1. 米製造業景況感指数:製造業回答者の声

Manufacturing PMI® at 49.3%

December 2024 Manufacturing ISM® Report On Business®

  • New Orders Growing and Backlogs Contracting

新規注文増加と受注残減少

  • Production Growing and Employment Contracting

生産増加・雇用減少

  • Supplier Deliveries Slowing

サプライヤー出荷遅延

  • Raw Materials Inventories Contracting; Customers’ Inventories Too Low 原材料在庫縮小;顧客在庫過少
  • Prices Increasing; Exports Unchanged and Imports Contracting

価格上昇;輸出不変・輸入縮小

【解説】

米サプライマネジメント協会(ISM)が1月3日発表した2024年12月の米製造業景況感指数は49.3と前月から0.9ポイント上昇し、24年3月以来およそ9カ月ぶりの高水準となった。ダウ・ジョーンズ通信がまとめた市場予想(48.0)も上回った。好不況の分かれ目になる50は9カ月連続で下回ったものの、米製造業の活動には持ち直しの兆しがみられる。同指数は24年1月以来およそ1年ぶりに2カ月連続の上昇を記録した。項目別では、新規受注を表す指数が52.5と2.1ポイント上昇した。調査対象の企業からは「新規受注の増加で工場がフル稼働状態になっている」(電気機器)との声が聞かれた。企業の支払うコストを示す価格指数は52.5と2.2ポイント上昇した。ウェルズ・ファーゴ証券のエコノミストは「原材料価格の上昇が以前より緩やかになったとはいえ、価格自体はまだ高い水準にとどまっている」と指摘する。雇用に関する指数は45.3と2.8ポイント低下した。ISMで調査を担ったティモシー・フィオレ氏は「製造業の人員削減は増加しており、25年末に向けて更に多くの人員削減が見込まれる」と説明する。米経済はサービス業が堅調さを保つ一方、製造業は低迷が続いてきた。トランプ次期米大統領は米国内の製造業の復活を掲げ、規制緩和や減税、輸入品への関税引き上げといった措置を講じる考えを示している。米証券ジェフリーズのエコノミストは「トランプ氏が就任後に(保護主義的な関税引き上げなどの)大統領令を出せば、製造業が好転し始めるだろう」とみる。もっとも、業況見通しに慎重な声もある。PNCファイナンシャル・サービシズ・グループのシニア・エコノミストは「製造業は依然として高金利とドル高の影響を受けており、先行きは厳しい」と指摘する。

米ISM製造業景況感指数
製造業約350社の購買担当者に対し受注や生産状況をアンケート調査により聞き取りし、月初めの第1営業日(その2日後に非製造業を公表)に公表している統計。日本の企業短期経済観測調査(日銀短観)に似た統計といえます。米主要統計の中でも最も早く月初めに発表されるため、市場関係者の注目度が高く、景気の先行指標とされています。一般に好不況の判断の境目とされる50%を割れると景気後退で、50%を超えると景気拡大と判断されます。GDPとの関連性を持たせるために2008年1月分の統計より算出方法が変更され、現在は「新規受注・生産・雇用・入荷遅延・在庫」の5項目(比率はそれぞれ20%)につき、「増加、同じ、減少」の回答結果をもとに算出する。民間調査機関13社の予測値(中心値)が前もって出回るので、リリース時にはそのギャップも重要になります。

製造業回答者の声WHAT RESPONDENTS ARE SAYING …

1Chemical Products 化学製品季節性と年度末の在庫調整のため若干の下落している。
2Transportation Equipment 輸送機械自動車・パワースポーツ向けが減少している。 注)世界のパワースポーツ市場は2021年に約342億9000万米ドルと評価され、予測期間2022-2029年には5.21%以上の健全な成長率で成長すると予測されている。パワースポーツはモータースポーツのサブカテゴリーで、オフロードとオンロードでの使用を目的に設計された高性能車。
3Food, Beverage & Tobacco Prod 食品・飲料・煙草売上が軟化している。ピークシーズン繁忙期であるため、懸念されている。
4Computer & Electronic Products         コンピュータ・電子製品例年より受注残が多いにも関わらず、技術的な労働力に制約されている。
5Machinery           一般機械今年最後の2ヶ月間、生産需要が大幅に減速している。
6Fabricated Metal Products        金属加工製品受注水準が予測値を大きく下回っている。
7Electrical Equipment, Appliances & Components     電気機器・家電・部品新規受注の増加により、工場はフル稼働となっている。  
8Miscellaneous Manufacturing    その他の製造業季節要因に加え、2025年の需要拡大見通しが重なっている。  
9Primary Metals   一次金属今月は、安定的ではないが、確実に上昇している。
10Plastics & Rubber Products プラスチック・ゴム製品季節的な再入荷のため、受注が若干増加している。