2024年8月報告

3. ユーロ圏景況感指数

S&Pグローバルがまとめた7月のユーロ圏HCOB総合購買担当者景気指数(PMI)改定値は50.2と、前月の50.9から低下した。製造業の低迷に加えてサービス業も伸び悩んだ。速報値の50.1から小幅に上方修正され、好不況の分かれ目となる50を5カ月連続で上回った。

ハンブルク商業銀行(HCOB)のチーフエコノミストは「ユーロ圏経済の7月の成長ペースは鈍い。部門別では、サービス業は今年初めほどの勢いがなく、工業部門は依然として低迷が続いている」と指摘した。サービスPMIは6月の52.8から51.9に低下し、速報値と一致した。

総合新規事業指数は49.0と前月の49.4から低下し、2カ月連続で50を下回った。ユーロ圏全体の需要が短期的に回復する兆しが見られないことが示された。企業の値上げペースが緩和したものの、需要は振るわなかった。サービス価格指数は53.5から52.9に低下し、2021年5月以来の低水準となった。欧州中央銀行(ECB)は一段の政策緩和の余地を得られる可能性がある。

米国の金融情報サービス大手S&P グローバル(S&P Global Inc.)
米ニューヨーク市に本拠を置く金融サービス企業。S&P グローバル・レーティングやS&P ダウ・ジョーンズ・インデックスなど、四事業体の親会社にあたる。旧社名はマグロウヒル・ファイナンシャル。S&P グローバルは金融サービス企業であるが、旧社名のマグロウヒルは出版社であり、金融サービス業との関係は、スタンダード&プアーズの買収以降となる。スタンダード&プアーズは、1906年にルーサー・リー・ブレイクが設立したスタンダード統計(Standard Statistics Bureau)と、1860年にヘンリー・ヴァーナム・プアーが創業したプアー出版(H.V. and H.W. Poor Co.)が、1941年に合併して発足した。1966年、マグロウヒルはスタンダード&プアーズを買収し、以降、出版社が金融サービス業を子会社の事業として抱える形態が続いた。1995年に社名をThe McGraw-Hill Companiesに変更。2009年12月にブルームバーグにビジネスウィーク誌を売却した。2013年5月1日に、マグロウヒルはマグロウヒル・ファイナンシャルに社名変更、2016年4月、子会社のJDパワーを売却、またS&P グローバルに社名変更した 。