2024年2月報告

1. 米製造業景況感指数:製造業回答者の声

Manufacturing PMI® at 49.1%

January 2024 Manufacturing ISM® Report On Business®

New Orders Growing; Backlogs Contracting

新規注文増加と受注残減少

  • Production Growing; Employment Contracting

生産増加;雇用減少

  • Supplier Deliveries Faster

サプライヤー出荷は加速

  • Raw Materials Inventories Contracting; Customers’ Inventories Too Low

原材料在庫減少;顧客在庫過少

  • Prices Increasing; Exports Contracting and Imports Growing

価格上昇;輸出減少、輸入増加

【解説】 米サプライマネジメント協会(ISM)が1日発表した1月の米製造業景況感指数は49.1で、好不況の分かれ目となる50を15カ月連続で下回った。約22年ぶりの長期低迷を記録した。ただ、前月比では2ポイント改善し、22年10月以来の水準まで戻った。市場予想の47.2も上回るなど、景況感が底入れしたとの見方もある。ファクトセットによると、今回の「不況」は18カ月連続で指数が50を下回った2000年8月~02年1月以来の長さだ。22年前の「ITバブル」の崩壊や米同時テロによる40台前半までの下落とは異なり、現在はより小幅な不況に留まっている。英キャピタル・エコノミクスは「製造業の不況感は薄れ始めており、米連邦準備理事会(FRB)の金利をより高く、より長く据え置く方針が適切だったと実証している」と解説する。業種別では、18業種中、木材、食品・飲料・たばこ製品業種、家具、電化製品など13業種が「不況」と回答した。「好況」だったのは4業種で衣服、繊維製品、運送機材、化学薬品だった。「変わらず」と回答したのは印刷関連業だった。項目別では新規発注を示す指数が52.5、生産活動の指数が50.4とそれぞれ5.5ポイントと0.5ポイント改善した。一方、労働需要の減速を反映し、雇用環境を映す指数は0.4ポイント下がり47.1となった。今後の見通しについて、調査対象の企業の見方は分かれている。「売り上げが想定以上で、仕入れ価格は安定している」(化学製品)、「想定通り政策金利が今年下げられれば、販売環境が改善すると期待している」(機械)と楽観的な見方があった。

米ISM製造業景況感指数
製造業約350社の購買担当者に対し受注や生産状況をアンケート調査により聞き取りし、月初めの第1営業日(その2日後に非製造業を公表)に公表している統計。日本の企業短期経済観測調査(日銀短観)に似た統計といえます。米主要統計の中でも最も早く月初めに発表されるため、市場関係者の注目度が高く、景気の先行指標とされています。一般に好不況の判断の境目とされる50%を割れると景気後退で、50%を超えると景気拡大と判断されます。GDPとの関連性を持たせるために2008年1月分の統計より算出方法が変更され、現在は「新規受注・生産・雇用・入荷遅延・在庫」の5項目(比率はそれぞれ20%)につき、「増加、同じ、減少」の回答結果をもとに算出する。民間調査機関13社の予測値(中心値)が前もって出回るので、リリース時にはそのギャップも重要になります。

製造業回答者の声WHAT RESPONDENTS ARE SAYING …

1Chemical Products 化学製品2024年の出だしは好調だ。売上高は期待を上回り、コストはほぼ安定している。幾つかの商品は、供給不足のためコストが上昇している。以前は、欠品していた商品市場の位置づけの多くが修正された。国際運賃が短期的に上昇している。
2Transportation Equipment 輸送機械2024年の商用車市場は、昨年に比べ少し後退しているようだ。予想販売台数は、殆どの製品分野内で若干減少しており、顧客の競争力ある購買調達と新技術への移行に関連した増加は限定的である。半導体を含む大半のサプライチェーンは安定しており、現在唯一大きく段階的に拡大しているのが中東・紅海経由の運行である。
3Food, Beverage & Tobacco Prod 食品・飲料・煙草景気は引き続き安定している。2024年の現金収支が厳しくなっていくだろう。
4Computer & Electronic Products         コンピュータ・電子製品米国経済の先行きが顧客注文に影響しており、現在の受注残は過去の四半期と比較してかなり少ない。米CHIPS法による改善の可能性を待っている。 2022年のCHIPS(半導体を生産するための奨励金の創造:Creating Helpful Incentives to Produce Semiconductors)
5Primary Metals   一次金属現在の業界状況は良好であるが、今後数ヶ月は価格下落の動きがあり、潜在的な逆風ため注意が必要である。
6Machinery        一般機械12月の売上は非常に好調だったが、1月前半は予想通り低調だった。米連邦準備制度理事会(FRB)が金利据え置きを継続し、将来の利下げを示唆すれば、今後も堅調な売上が期待できる。
7Fabricated Metal Products        金属加工製品良いスタートが切れた。当社は、2023年比3.5%増の予算を組んでいた。今年は、厳しい年になると予想している。現在、自動車OEMと自動車修理事業の受注は好調だが、産業用事業部門は低調だ。それでも第1四半期までは予算見通しを達成できる見込みだ。12月末時点で多くのOEMが在庫水準を減らすため最後の数週間の注文を解約したため、1月度は自動車向けが好調に推移していると感じている。
8Miscellaneous Manufacturing    その他製造業歴史的に高水準であった受注残は、サプライチェーンの改善と受注の若干の鈍化により減少している。
9Electrical Equipment, Appliances & Components 電気機具・部品需要は引き続き低調。2023年後半からの減少が今年も続いている。当社は、需要に併せて生産調整を行っている。
10Textile Mills      繊維工場12月は著しく減速。1月は持ち直したが、前年の水準には達していない。