2022年2月報告

1. 米製造業景況感指数:製造業回答者の声

Manufacturing PMI® at 57.6%

January 2022 Manufacturing ISM® Report On Business®

  • New Orders, Production, & Employment Growing 新規注文、生産、雇用は全て増加
  • Supplier Deliveries Slowing at a Slower Rate; Backlog Growing サプライヤー出荷は緩慢な遅れ;受注残は増加している
  • Raw Materials Inventories Growing; Customers’ Inventories Too Low原材料在庫増加;顧客在庫過少
  • Prices Increasing; Exports and Imports Growing 価格上昇;輸出入増加

【解説】米サプライマネジメント協会(ISM)が1日発表した1月の米製造業景況感指数は57.6で前月の改定値から1.2ポイント低下した。3カ月連続の低下で、2020年9月以来の1年4カ月ぶりの低さとなった。ISMは、新型コロナウイルスの変異型「オミクロン型」の感染拡大に伴う自己隔離などで欠勤を余儀なくされる労働者が増え、生産活動が抑制されたことが指数低下の主因だと指摘した。個別指数は「新規受注」が57.9で3.1ポイント、「生産」が57.8で1.6ポイントそれぞれ低下した。一方、「雇用」は0.6ポイント上昇の54.5とわずかに上向いた。供給網の乱れで高まっている「入荷遅延」は0.3ポイント低下の64.6でやや改善した。ISMは供給が制約された環境が依然続いているものの、「3カ月連続で労働資源と供給配送は改善した」と指摘した。ただ、企業からは「供給網の逼迫は僅かに改善したが、一部の部品や機材の入荷にはかつてないほど時間がかかっている」(非金属鉱物生産分野)、「材料・物流面では一部改善があるが、能力を備えた労働者不足が引き続き足かせとなっている」(コンピューター・電子製品分野)との声が聞かれた。

米ISM製造業景況感指数
製造業約350社の購買担当者に対し受注や生産状況をアンケート調査により聞き取りし、月初めの第1営業日(その2日後に非製造業を公表)に公表している統計。日本の企業短期経済観測調査(日銀短観)に似た統計といえます。米主要統計の中でも最も早く月初めに発表されるため、市場関係者の注目度が高く、景気の先行指標とされています。一般に好不況の判断の境目とされる50%を割れると景気後退で、50%を超えると景気拡大と判断されます。GDPとの関連性を持たせるために2008年1月分の統計より算出方法が変更され、現在は「新規受注・生産・雇用・入荷遅延・在庫」の5項目(比率はそれぞれ20%)につき、「増加、同じ、減少」の回答結果をもとに算出する。民間調査機関13社の予測値(中心値)が前もって出回るので、リリース時にはそのギャップも重要になります。

製造業回答者の声WHAT RESPONDENTS ARE SAYING …

1Chemical Products 化学製品サプライヤーの新型コロナウイルス疫病の問題により、スチール鉄製缶や化学薬品などの主要材料の製造が制限されているため、生産が大幅に中断されている。
2Transportation Equipment 輸送機械輸送、労働、インフレの問題は、サプライチェーンと顧客にサービスを提供する能力を妨げている。幸いに、これは当社の競争も妨げており最終的に価格上昇が通過し続けるため、最大の衝撃は消費者の段階にある。
3Food, Beverage & Tobacco Prod 食品・飲料・煙草サプライヤーは遅延と不足を経験しているため、予定通りの出荷を満たすのに苦労している。また、納期と在庫であがいており、その結果、生産が棄損している。
4Fabricated Metal Products 金属加工製品熟練の生産要員の不足、新型コロナウイルスの亜種による業務欠落、より良い好機のため退職するなどが重なり、完璧な業務をより困難にしている。よって受注残を片付けている。
5Computer & Electronic Products コンピューター・電子製品当社の工場と物流センターに届く材料にはある改善が見られる一方で、当社は、資格労働力不足に制約されている。注文は解約されていないが、顧客が辛抱できないのではないかと心配している。
6Furniture & Related Products家具・関連商品労働力の不足とサプライチェーンの問題に対処しているため、注文予約が増え続けている。
7Nonmetallic Mineral Products非金属鉱物製品サプライチェーンの危機は少し緩んでいる可能性があるが、相手先ブランド供給(OEM)の部品と機器は、これまで経験したことのない長納期状態である。
8Machinery 一般機械輸送制限とサプライヤーの人手不足は、当社の生産を著しく制限する不足を生み出している。これにより顧客に提供できるものと時間通りの配達が制限されている。
9Miscellaneous Manufacturing その他の製造集積回路の可用性は現実に問題を引き起こし、原材料、他の電子材料不足が引き続き顧客への配送を妨げている。  
10Electrical Equipment, Appliances & Components電気機器・電化製品と関連部材新年に入る際の堅調な受注残があり、購入製品の入手可能性によっては、目標収益を打破する可能性もある。