3.おわりに:
読者の皆さんへ、コロナ禍にもめげずに張り切っておられる皆様へエールを送ります。当たり前ですが、体調管理に努め世界中のピンチを乗り切って下さい。
年末は昨年同様読書に勤しむことにした。「太平洋戦争のロジスティックス」林譲治著に集中的に取り組んだが著者の詳細な調査に驚き、自分の浅学に打ちのめされた。同書は、主に日本の陸海軍部隊の兵站の話であるが、非常に詳細に記しており、決して日本軍は兵站補給を軽視したのではない、という内容であった。先月の横浜講演で、第二次世界大戦では戦死者より餓死者が多かったと話したことについて、裏を取らなかったことを恥じた次第である。また現地調達という単語も頻繁に出てくる。サプライマネジメントの基本である内外作の検討、物流(当時は人馬での輸送)、航空機生産減、民間の供給請負人の選定など、現代の企業におけるサプライチェーン経営に重大な示唆を与えることを知った。読者の皆さんにも勧めたいと思っている。年末に元陸上自衛隊東部方面輸送隊の幹部と会い、暫し話し合ったが同じようなことを聞かされた。同書内から当時のロジスティックスの定義を転載する:戦争を遂行するために必要な人的戦闘力と物的戦闘力を造成・維持・発展させ、持って戦争手段を提供する軍事活動とし、その内容を「補給・整備・輸送・建設・衛生・人事、及び行政管理」とした。この定義に基づけば前線の傷病者を後送する体制や軍病院、野戦築城の設営体もロジスティックス機関に含まれるほか、陸海軍及び民間企業の兵器生産や技術開発も無関係ではない。
テレビのコメンテータがよく口にする有事と平時であるが、新型コロナウイルス疫病流行が有事とするならば相応のロジスティックスでの対応が求められる。
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月報編集室:主筆 上原 修 CPSM, C.P.M. JGA
特定非営利活動法人 日本サプライマネジメント協会