2022年1月報告

3. ユーロ圏景況感指数

IHSマークイットは3日、12月のユーロ圏製造業PMI(購買担当者景気指数、確定値)が58になったと発表した。速報値から変化はなく、前月からは0.4ポイント低下。過去10カ月で最低となったものの、景気の「改善」と「悪化」の境目である50は、18カ月連続で上回っている。調査対象国の内、イタリアは62に低下。オランダは58.7と、1年ぶりの低水準となった。アイルランドは過去9カ月で最低の58.3となり、スペインは56.2で10カ月ぶりの低水準に落ち込んだ。半面、ギリシャは59、オーストリアは58.7にそれぞれ上昇した。ユーロ圏経済を牽引するドイツは57.4。速報値から0.5ポイント下方修正され、昨年1月以降で最低となった11月からは横這いだった。生産高は2カ月続けて僅かに拡大したが、新規受注の伸び幅は2020年7月以降で最低となった。雇用は5カ月ぶりに加速した。フランスは55.6と、速報値から0.7ポイント上方修正されたものの、前月からは0.3ポイント低下。生産高はわずかに増加し、新規受注の伸びは4カ月ぶりの高水準だった。雇用は11カ月連続で増加している。ユーロ圏製造業PMIのサブ指数を見ると、生産高は前月からほぼ変化がなかったが、新規受注の伸び幅は昨年1月以降で最も小さかった。仕入れ価格の上昇幅は引き続き高水準にあるものの、昨年4月以降では最も縮小。出荷価格は4カ月ぶりの低水準となった。IHSエコノミストは「2021年後半はユーロ圏の製造業にとって非常に厳しい時期となったが、今回の結果は、クリスマス・新年のお祝いムードをあまり損なうものではなかった」とコメントした。サプライチェーン危機が緩和し始めたという非常に喜ばしい兆候はあるものの、その恩恵は僅かなものだったと指摘。また、インフレ率の緩和は歓迎すべきことだが、依然高水準にあると警鐘を鳴らした。

※民間企業であるマークイット社が発表するユーロ圏製造業購買担当者景気指数(PMI)とは,景気転換の先行指標であり,製造業の購買担当者へのアンケート調査をもとに指数化したもの。数値が前回より上回った場合,対象国の通貨は買われやすくなる。ESI(欧州委員会景況感指数)は企業や消費者のマインドを表し,国内総生産(GDP)と似た動きを示す代表的な景気指標である。同指数は50が活動拡大と縮小の分かれ目。