③ ユーロ圏景況感指数
III ユーロ圏景況感指数
IHSマークイットが発表した12月のユーロ圏購買担当者景気指数(PMI)速報値は、総合指数が55.2となり、前月の45.3から上昇したほか、ロイター調査の予想45.8を大きく上回った。新型コロナウイルス感染拡大第2波と都市封鎖再導入の影響は従来よりも小さかった。所属エコノミストは「ロックダウン措置が再導入される中、今回のPMIは11月に厳しい悪化局面に再び陥った後で経済が安定に近づいていることを示唆している」と指摘。「その結果として、第4・四半期の低迷は今年これまでに見られたパンデミックによる打撃よりもはるかに小さいとみられる」と語った。サービス部門PMIは41.7から47.3に上昇。市場予想は41.9だった。雇用指数は49.4と依然として50を下回ったものの、11月の48.2から上昇した。製造業PMIは53.8から55.5に上昇。市場予想の53.0を上回ったほか、2018年5月以来の高水準となった。工場は多くが操業を続けており、ロックダウンによる影響をサービス部門ほど受けていない。総合PMIに反映される生産指数は55.3から56.6に上昇した。総合将来生産指数は60.4から63.8に上昇。エコノミストは「各社は新型コロナワクチンへの期待がある中、向こう1年間に対する楽観姿勢を強めている」と述べた。キャピタル・エコノミクスは「総合PMIの大幅な回復は、主にフランスの制限措置の緩和を反映したものだ。第4・四半期のユーロ圏の域内総生産(GDP)は、懸念されていたほど落ち込ないかも知れない。ただ、ドイツでは厳格な制限措置が導入されており、総合的に見れば、サービス業の活動は暫く低迷が続き、景気回復の重しになるだろう。またワクチン開発に関する明るいニュースが、企業の予想に好影響を及ぼし、確かに歓迎すべきニュースだが、短期的な見通しは依然として不透明だ。特に制限措置の延長を巡るリスクがある」と述べた。
※民間企業であるマークイット社が発表するユーロ圏製造業購買担当者景気指数(PMI)とは,景気転換の先行指標であり,製造業の購買担当者へのアンケート調査をもとに指数化したもの。数値が前回より上回った場合,対象国の通貨は買われやすくなる。ESI(欧州委員会景況感指数)は企業や消費者のマインドを表し,国内総生産(GDP)と似た動きを示す代表的な景気指標である。同指数は50が活動拡大と縮小の分かれ目。