2024年11月報告

5. 内閣府景気ウォッチャー調査

10月の現状判断DI(季節調整値)は、前月差0.3ポイント低下の47.5となった。家計動向関連DIは、サービス関連が上昇したものの、住宅関連等が低下したことから低下した。企業動向関連DIは、製造業が上昇したことから上昇した。雇用関連DIについては、上昇した。10月の先行き判断DI(季節調整値)は、前月差1.4ポイント低下の48.3となった。家計動向関連DI、企業動向関連DI、雇用関連DIが低下した。なお、原数値でみると、現状判断DIは前月差1.0ポイント低下の46.6となり、先行き判断DIは前月差1.2ポイント低下の48.0となった。今回の調査結果に示された景気ウォッチャーの見方は、「景気は、緩やかな回復基調が続いている。先行きについては、価格上昇の影響等を懸念しつつも、緩やかな回復が続くとみている。」とまとめられる。

内閣府景気ウォッチャー調査
地域の景気に関連の深い動きを観察できる立場にある人々の協力を得て,地域ごとの景気動向を的確かつ迅速に把握し,景気動向判断の基礎資料とすることを目的とする。調査は毎月,当月時点であり,調査期間は毎月25日から月末である。本調査業務は,内閣府が主管し,下記の「取りまとめ調査機関」に委託して実施している。各調査対象地域については,地域ごとの調査を実施する「地域別調査機関」が担当しており,「取りまとめ調査機関」において地域ごとの調査結果を集計・分析している。

2.サプライチェーン関連記事抜粋令和6年10月1日~10月31日

 主題概要
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2フランス・トタール社、銅取引参入検討世界のエネルギー大手も脱炭素シフト 収益補強 転換は道険しく
3米GM、EVは小型シフト3万ドル以下を投入、黒字化急ぐ 低コスト電池調達拡大
4ボーイング生産停滞続く7~9月は9400億円の赤字 主力小型機の製造ゼロ
5水素航空機 26年にも運航伊藤忠出資の米社、まず欧米:米ゼロアビア 環境配慮、機運取り込む
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17日立、時価総額2位競う改革評価で一時浮上 PER、米テックに迫る
18銅、1万ドル再び突破中国需要に回復の兆し 「期待先行」に警戒の声
19比AGI、カジノ大型投資オンライン規制で実店舗シフト ボラカイ島やセブ島に
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21複数AIで創薬 後押し国際競争力向上目指す 政府、開発期間・費用を圧縮
22日本企業の脱・中国加速投資額16%減、欧州下回る 車不振、供給網に波及:日産やホンダ工場閉鎖
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26海水からCO2回収大気より容易に脱炭素 米新興や海洋機構:キャプチュラ
27非鉄でも脱炭素技術開発住友金属鉱山:ニッケル、水素製錬 DOWA:燃料にバイオマス
28コーヒーや天然ゴム急落コスト増予測の反動受け EU、森林規制一年延期案
29東南アジアを輸出・生産拠点に太平洋セメント、中国撤退で インドネシア、米豪向け
30脱炭素や越境決済に重点ASEAN、26年から5年計画 7億人市場統合へ加速
31ドコモ、国産優先を転換基地局:富士通から海外製 競争力強化へ1000億円
32ミネベアやレゴ 再エネ100%工場東南アジア:環境配慮前面に 調達先選別の動き対応

≪用語解説:記事内の用語と企業を確認しましょう≫

ゼロアビア
ZeroAviaは、英国/アメリカの水素電気航空機の開発会社。同社は2017年にValery Miftakhov氏によって設立され、現在は同社のCEOを務める。プロペラ航空機の従来のエンジンに対抗することを目的とした水素燃料パワートレイン技術を開発しており、ゼロエミッションと低騒音を目指す。2023年までに製品を販売し、最大20席の航空機で最大500マイル(800 km)の飛行を実証する予定で、2026年までに最大80席の航空機で500マイルを超える航空機を飛行する予定である。
企業不正、再び増加
新型コロナウイルス禍の影響で減っていた企業の不正や不祥事が、再び増加傾向に転じたことが大手コンサルティング2社のそれぞれの調査で明らかになった。在宅勤務の減少で、発覚する機会が増えた。内部通報制度が機能せず、重大な不正を早期発見できない課題も浮かぶ。海外拠点がサイバー防衛の弱点になっていることもわかった。
中国最大手のMIXUE(ミーシュー、蜜雪冰城)
MIXUEも2018年にベトナム・ハノイに初出店して以降国外展開を進め、4年間で1000店舗以上になっています。同社の特徴である“激安”路線は国外でも貫かれていて、韓国やタイなどの店舗も、学生街や若者が多い地域に重点的に展開されています。このように、国内市場の国外展開の一環として、今回日本にも進出することになったのでしょう。前述のようにららぽーとTOKYO-BAYの店舗では、タピオカミルクティーMが360円です。中国での6元(約120円)という激安感はありません。ただ、台湾系のCoco都可(ココトカ)やGong Cha(ゴンチャ、貢茶)など、既存店の単価が500円前後であることを考えると、多少“安い”という印象はあります。この価格が今後開店する店舗でも同じであるとすれば、立教大学生が多い池袋の店舗では低価格がアピールできるかもしれません。竹下通りから少し離れた表参道(原宿)の店舗ではどれだけアピールポイントになるかはわかりませんが。いずれにしても、MIXUE日本進出の今後は、注目していきたいと思います。
コッテイCOTTI COFFEE、庫迪咖啡
コッティコーヒーは、2022年にラッキンコーヒーの創業者、元経営陣が創業した中華人民共和国のコーヒーチェーン店である。経営は、直営店とフランチャイズ方式をとっており、店舗数は現在世界7カ国、7000店舗以上、世界で5番目に大きいコーヒーチェーンとなっている。コーヒーやココナッツラテ、お茶などのドリンクを販売している。日本では、2023年8月26日に東京大学赤門店が国内初出店。2022年10月、ラッキンコーヒーの創業者であった陸正耀や経営陣であった銭治亜らによって中国・福建省で創業された。2023年5月、店舗数は3000店舗に達した。2023年8月、世界展開を開始。韓国、インドネシア、カナダ、日本の5カ国に進出、店舗数は5000店舗に達した。2023年11月、世界中での店舗数は6000+店舗に達した。2024年3月、世界中での店舗数は7000+店舗に達した。
インテル
米インテルの経営が苦境に陥っている。受託生産(ファウンドリー)への先行投資がかさんで業績が悪化し、設計・製造を一体で担う垂直統合型の事業モデルは岐路に立つ。時価総額の急激な縮小で買収観測が浮上しているが、実現には規制の高い壁がある。経営の立て直しに向けた道筋は描けていない。インテルの2024年4~6月期の最終損益は16億1000万米ドル(約2300億円)の赤字だった。
兵器市場、仏伊韓が台頭 輸出大国ロシアは余力乏しく
世界各国の武器調達の流れが変わりつつある。輸出規模で米国と首位を分け合ってきたロシアは、ウクライナ侵略の影響で輸出余力が大幅に減った。ロシアから武器を輸入するベトナムやインドなどは調達先の多様化を進めており、フランスやイタリア、韓国が代替需要の獲得を競う。韓国は2~5日、陸海空軍が本部を置く中部・忠清南道の鶏龍市で武器展示会「KADEX」を開く。
日立、時価総額2位競う 
日立製作所が株式時価総額で日本2位を競っている。2023年末の倍になり、先週末にかけて一時2位(昨年は14位)に浮上した。事業再編や送配電、デジタル事業の成長性が評価され、海外投資家の買いを一身に集めた。成長期待を示唆するPER(株価収益率)は米巨大テック「マグニフィセント・セブン(M7)」の一角に迫る。
Capturaキャプチュラ
脱炭素技術に新星が現れた。カリフォルニア工科大学のスピンオフ企業キャプチュラは2021年設立、地球表面の70%を占める海洋を活用することで、大気中のCO2を低コストで除去する施設の建設を目指している。海水中の二酸化炭素(CO2)を回収し、脱炭素に貢献する研究が始まった。米スタートアップのCaptura(キャプチュラ)は年100トンのCO2を回収する実験施設を建設した。日本の海洋研究開発機構(JAMSTEC)も取り組む。大気からの回収より効率化できる可能性がある。
欧州森林破壊防止規則 EU Deforestation Regulation:EUDR
EUDRは、EU市民がEU圏内および世界の森林破壊・森林劣化の一因となる製品を消費することを回避することを目的とし、2023年6月29日に施行された。この規則では、EU市場で流通する、またはEUから輸出される規制対象商材が、森林破壊の対象となる土地で生産されていないことを保証することを企業へ義務付けるもので、大企業は2024年12月30日から、中小企業は2025年6月30日から当該義務の適用が開始される。このため、EU市場に製品を輸出する日系企業としても、輸出製品に対象商材が含まれている場合、それらの商材が森林破壊の対象となる土地で生産されていないことを証明する必要がある。
脱炭素や越境決済に重点:26年から5年計画 7億人市場統合へ加速
東南アジア諸国連合(ASEAN)は域内市場の統合を目指すASEAN経済共同体(AEC)の新たな実施計画の骨格をまとめた。経済のデジタル化や脱炭素化を2026~30年までの目標の柱に据える。7億人市場の統合を加速させる。草案によると、新計画は技術革新を促す環境の整備やグリーン経済への投資誘致、食料安全保障体制の構築など6つの目標を軸に構成される。
ドコモ、国産優先を転換
NTTドコモは携帯電話基地局の調達戦略を見直す。高速通信規格「5G(総合2面きょうのことば)」で先行する海外製を増やし、富士通製と置き換える。2025年度までの2年で計1000億円規模を充てる。国産機器を優先する方針からオープンな調達先開拓に転換し、課題の通信品質の改善につなげる。NTTグループは注力する次世代通信基盤「IOWN(アイオン)」で開かれた仲間づくりを国内外で進めている。
ミネベアやレゴ、東南アに再エネ100%工場
ミネベアミツミはカンボジアで全電力が再生可能エネルギー由来の新工場を建設する。デンマークの玩具大手レゴグループもベトナムで再エネ100%の新工場を稼働させる。自然資源や広大な土地を活用して再エネを作り出し、東南アジアの各工場で使用。環境に優しい製品を売り物にして調達先の選別に応える。ミネベアミツミは9月20日、カンボジア西部プルサット州で新工場の起工式を開いた。