3. ユーロ圏景況感指数
S&Pグローバルがまとめた6月のユーロ圏HCOB総合購買担当者景気指数(PMI)改定値は50.9と5月の52.2から大幅に低下した。サービス業はなお堅調だったが、既に発表されている製造業の悪化が響いた。 速報値の50.8からは小幅に上方改定され、景況拡大・悪化の分かれ目となる50を4カ月連続で上回った。ハンブルク商業銀行(HCOB)のチーフエコノミストは「ユーロ圏の成長は完全にサービス部門に依存している。製造業は6月にかなり落ち込んだが、サービス業は前月とほぼ同様の力強い成長を続けている」と述べた。サービスPMIは前月の53.2から52.8に低下したものの、速報値の52.6を上回った。
6月はモノの需要が減少したほか、サービス業も伸びが鈍化した。このため総合新規受注指数は5月の51.6から49.4に低下した。50割れは2月以来、初めてだ。速報値は49.2だった。
堅調な賃金データと依然として根強い物価上昇圧力が追加利下げを巡る不確実性を高めているが、PMIによると、投入コストと産出コストの両方で圧力が和らいでいる。サービス単価指数は前月の54.2から53.5へ低下し、約3年ぶりの低水準となった。欧州中央銀行(ECB)の政策決定はユーロ圏サービスPMIの内容とある程度一致していると指摘。物価上昇率はコロナ禍前の平均を遥かに上回っており、経済の脆弱な状態を踏まえると極めて高い。従ってECBは今後も慎重姿勢を維持するだろう。
米国の金融情報サービス大手S&P グローバル(S&P Global Inc.) |
米ニューヨーク市に本拠を置く金融サービス企業。S&P グローバル・レーティングやS&P ダウ・ジョーンズ・インデックスなど、四事業体の親会社にあたる。旧社名はマグロウヒル・ファイナンシャル。S&P グローバルは金融サービス企業であるが、旧社名のマグロウヒルは出版社であり、金融サービス業との関係は、スタンダード&プアーズの買収以降となる。スタンダード&プアーズは、1906年にルーサー・リー・ブレイクが設立したスタンダード統計(Standard Statistics Bureau)と、1860年にヘンリー・ヴァーナム・プアーが創業したプアー出版(H.V. and H.W. Poor Co.)が、1941年に合併して発足した。1966年、マグロウヒルはスタンダード&プアーズを買収し、以降、出版社が金融サービス業を子会社の事業として抱える形態が続いた。1995年に社名をThe McGraw-Hill Companiesに変更。2009年12月にブルームバーグにビジネスウィーク誌を売却した。2013年5月1日に、マグロウヒルはマグロウヒル・ファイナンシャルに社名変更、2016年4月、子会社のJDパワーを売却、またS&P グローバルに社名変更した 。 |