1. 米製造業景況感指数:製造業回答者の声
Manufacturing PMI® at 48.7%
May 2024 Manufacturing ISM® Report On Business®
- New Orders and Backlogs Contracting
新規注文と受注残減少
- Production and Employment Growing
生産・雇用増加
- Supplier Deliveries Faster
サプライヤー出荷加速
- Raw Materials Inventories Contracting; Customers’ Inventories Too Low
原材料在庫減少;顧客在庫過少
- Prices Increasing; Exports and Imports Growing
価格上昇;輸出・輸入増加
【解説】
米サプライマネジメント協会(ISM)が3日発表した5月の米製造業景況感指数は48.7と前月比で0.5ポイント下がった。ダウ・ジョーンズまとめの市場予想(49.6)を下回り、好不況の分かれ目となる50も2カ月連続で下回った。高金利の環境が続き、製造業では「不況」の水準が長期化している。
製造業景況感指数は、48.7と前月(49.2)より0.5ポイント下落した。ブルームバーグによる市場予想は49.8で、予想外の下落になった。
項目別にみると、生産(50.2)は基準値を引き続き上回ったものの前月(51.3)から鈍化、新規受注(45.4)は前月(49.1)から大きく下げ、この2項目が主な押し下げ要因となった。また、雇用(51.1)は8カ月ぶりに基準値の50を上回ったが、採用増と回答した企業と採用減と回答した企業の割合は概ね同数で、数字ほどの強さがあるとは言い難い状況のようだ。
業種別にみると、拡大したと回答した業種と縮小したと回答した業種はいずれも7業種だったが、産出額の大きい6大業種の内4業種が縮小と回答するなど、比較的規模の大きな業種が縮小に転じたことから、全体としては製造業の55%が縮小となり、指数の低下に繋がったもようだ。縮小と回答した業種のコメントでは、「主にインフレの影響により引き続き厳しい環境にある」(食品・飲料・たばこ)、「受注残は減少しており、新規受注は堅調とはいえない。インフレは原材料価格と金利の面で課題であり続けている」(一般機械)など、インフレの影響により消費が下押しされている現状や、インフレ抑制に伴う高金利の継続が企業活動に影響を及ぼしていることを感じさせる声が寄せられており、こうした状況が生産、受注、雇用などの重しになっているようだ。
米ISM製造業景況感指数 |
製造業約350社の購買担当者に対し受注や生産状況をアンケート調査により聞き取りし、月初めの第1営業日(その2日後に非製造業を公表)に公表している統計。日本の企業短期経済観測調査(日銀短観)に似た統計といえます。米主要統計の中でも最も早く月初めに発表されるため、市場関係者の注目度が高く、景気の先行指標とされています。一般に好不況の判断の境目とされる50%を割れると景気後退で、50%を超えると景気拡大と判断されます。GDPとの関連性を持たせるために2008年1月分の統計より算出方法が変更され、現在は「新規受注・生産・雇用・入荷遅延・在庫」の5項目(比率はそれぞれ20%)につき、「増加、同じ、減少」の回答結果をもとに算出する。民間調査機関13社の予測値(中心値)が前もって出回るので、リリース時にはそのギャップも重要になります。 |
製造業回答者の声WHAT RESPONDENTS ARE SAYING …
1 | Chemical Products 化学製品 | ちょっとした減速が起きているようだ。経済における支出が減少しているため、当社製品に対する圧力も少なくなっている。 |
2 | Transportation Equipment 輸送機械 | 事業環境は、予算と2024年の見通しに歩調を合わせている。一部の市場は軟調だが、その他の市場は予想を上回っており、全体としては維持できている。景気への懸念が引き続き経営判断を後押ししている。 |
3 | Food, Beverage & Tobacco Prod 食品・飲料・煙草 | 主にインフレの影響により、数量は引き続き厳しい。 |
4 | Computer & Electronic Products コンピュータ・電子製品 | 受注は回復基調にあるが、在庫水準は依然として高く、サプライヤーからの受注に影響はない。サプライヤーからの受注が再開または増加するまでには、あと数ヶ月はかかるだろう。 |
5 | Primary Metals 一次金属 | 業界経済全般に対する懸念。価格低迷が続いており、今後数カ月はスポット受注やインフレに逆風が吹くと見ている。契約受注は堅調に推移している。 |
6 | Machinery 一般機械 | 受注が追いつくにつれ、受注残が次第に減少している。受注残が減少するほど新規受注は好調ではない。原材料価格と金利のため、インフレが引き続き問題となっている。特に大統領選挙の年であることを考えると、2024年暦年は横這いを予想している。 |
7 | Fabricated Metal Products 金属加工製品 | 景気が減速し、ここ数ヶ月、徐々に落ち込んでいる。新規受注は昨年水準、又は今年の予算には達していない。「輸出は引き続き低調であり、資本設備の販売は予測を下回っている。その結果、生産も減少傾向にあり、押し出しきれない在庫が増加している。 |
8 | Electrical Equipment, Appliances & Components 電気機器・家電・部品 | 需要は最初の数ヶ月は堅調で、予算を上回り、昨年と同様であった。5月と6月の予約は減速し始めている。それが減少の兆しなのか、典型的な周期的需要なのかを判断するため、当社は、このデータを注意深く監視している。 |
9 | Furniture & Related Products 家具・関連製品 | 景気は回復しており、予約が増えている。 |
10 | Petroleum & Coal Products 石油・石炭製品 | 6月の市場は全体的に軟調。北東部、南部、南東部の地域で天候不順が続き、地域的に若干の影響あり。複数の地域で出荷の遅れが続いている。 |