2024年4月報告

4. 中国の製造業景況感

財新/S&Pグローバルが1日発表した3月の中国製造業購買担当者景気指数(PMI)は51.1と、2月の50.9から上昇し、1年1カ月ぶりの高水準を付けた。市場予想の51.0も上回った。国内外で新規受注が増え、企業の景況感を11カ月ぶり高水準に押し上げた。景況拡大・縮小の分かれ目となる50を5カ月連続で上回った。PMIの内訳で生産と新規受注の拡大ペースが加速。外需が好調で、新規輸出受注が2023年2月以来の高水準を付けた。

企業の今後1年間の見通しは、投入コストの低下といった好材料により23年4月以来の高水準を付けた。財新智庫のシニアエコノミストは原材料価格の下落による生産コストの低下で、厳しい競争に直面する製造業者に値引きの余地が生じたと指摘。ただ、企業は増員に慎重で、雇用指数は昨年8月以降減少を示している。経済はなお逆風に直面しており、雇用低迷や物価安、有効需要不足が続いており、内需、外需の両方を更に促進する必要性が浮き彫りになっている。

中国国家統計局PMIは製造業3200社を対象に調べる。新規受注や生産、従業員数など項目ごとに調査する。50を上回れば前月より拡大、下回れば縮小を示す。
PMI(中国製造業購買担当者景気指数)
全国の製造業約820社の購買担当者を対象にしたアンケート調査。生産や受注について50を上回ると拡大,下回ると減少を示す。非製造業には建設,郵便,ソフトウェア,航空,鉄道,小売り,ケータリングが含まれる。
2009年設立の財新/S&Pグローバルの月例まとめ
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