1. 米製造業景況感指数:製造業回答者の声
Manufacturing PMI® at 47.8%
February 2024 Manufacturing ISM® Report On Business®
- New Orders; Backlogs Contracting
新規注文:受注残減少
- Production; Employment Contracting
生産;雇用減少
- Supplier Deliveries Slowing
サプライヤー出荷遅延
- Raw Materials Inventories Contracting; Customers’ Inventories Too Low
原材料在庫減少;顧客在庫過少
- Prices Increasing; Exports Contracting and Imports Growing
価格上昇;輸出減少、輸入増加
【解説】 米サプライマネジメント協会(ISM)が1日発表した2月の米製造業景況感指数は47.8で、好不況の分かれ目となる50を16カ月連続で下回った。約22年ぶりの長期低迷を記録した。前月比では1.3ポイント悪化し、ダウ・ジョーンズまとめの市場予想の49.5も下回った。ただ、顧客在庫の3カ月連続での減少が示され、将来の新規受注や生産の伸びにプラスになるという。ウェルズ・ファーゴのエコノミストは「製造業に明るい兆しが見えている」と述べた。この米製造業景況感指数が長期的に42.5を下回る状況は経済全体の縮小を意味する。従来は48.7を節目としていたのを改定した。金利上昇による借り入れコストの増加は商品需要を冷え込ませ、企業の設備投資を圧迫している。これら景気指数は、米経済の10.3%を占める製造業に関して過度に悲惨なイメージを描いている。
22年3月以降に政策金利を計525ベーシスポイント(bp)引き上げ、現在は5.25―5.50%に設定している米連邦準備理事会(FRB)は年内に利下げを始めると予想されている。先行指標となる新規受注指数は今年2月に49.2となり、1月の52.5から悪化。2月の生産指数も48.4と、1月の50.4から悪化した。一方、2月の供給業者の納入を示す指数は50.1と、1月の49.1から上昇。50を上回ると工場への納品が遅いことを示す。製造業景況調査委員会の委員長は「2月は供給業者の対応が遅くなっているようだ。これは一部の供給業者が対応に苦戦していることを意味する」と述べた。価格指数は1月の52.9から52.5へ低下し、モノのインフレが緩和したことを示した。キャピタル・エコノミクスの副チーフエコノミストは「米連邦準備理事会(FRB)にとってより重要なニュースは、財のインフレ率の大幅な回復が見込まれる兆候が未だ見られないことだ」と述べた。雇用指数は45.9と1月の47.1から低下し昨年7月以来の低水準となった。
米ISM製造業景況感指数 |
製造業約350社の購買担当者に対し受注や生産状況をアンケート調査により聞き取りし、月初めの第1営業日(その2日後に非製造業を公表)に公表している統計。日本の企業短期経済観測調査(日銀短観)に似た統計といえます。米主要統計の中でも最も早く月初めに発表されるため、市場関係者の注目度が高く、景気の先行指標とされています。一般に好不況の判断の境目とされる50%を割れると景気後退で、50%を超えると景気拡大と判断されます。GDPとの関連性を持たせるために2008年1月分の統計より算出方法が変更され、現在は「新規受注・生産・雇用・入荷遅延・在庫」の5項目(比率はそれぞれ20%)につき、「増加、同じ、減少」の回答結果をもとに算出する。民間調査機関13社の予測値(中心値)が前もって出回るので、リリース時にはそのギャップも重要になります。 |
製造業回答者の声WHAT RESPONDENTS ARE SAYING …
1 | Chemical Products 化学製品 | 現在、当社のビジネスでは売上が伸びている。納期は2024年第2四半期内が多い。 |
2 | Transportation Equipment 輸送機械 | 第1四半期は顧客からの注文の変更もあり低調となるが、2024年の残りは好調に推移すると予想している。当社は、成長予測を引き上げる可能性がある。 |
3 | Food, Beverage & Tobacco Prod 食品・飲料・煙草 | 典型的な第 1 四半期の数量は第 4 四半期の高水準から落ち込む。追加物流により一貫した生産シフトを維持できている。 |
4 | Computer & Electronic Products コンピュータ・電子製品 | 中国、日本、欧州で顧客の軟調が続いている。 |
5 | Primary Metals 一次金属 | 今月は日を追うごとに、また週を追うごとに好調さを増しているようだ。市場の不安定性は高く、価格は横這いから下降している。各所で兆候があるようなので、今月最後の数日がどうなるか興味深い。 |
6 | Machinery 一般機械 | 需要は漸く回復し、顧客からの注文は典型的な1-2月の水準に近づいた。1月は12月と比較し22%増、2月は1月と比較し26%増であった。 |
7 | Fabricated Metal Products 金属加工製品 | 顧客からの受注は安定しており、先月と比較して増加も減少もしていない。この安定した状態は、当社が予算化し予測したものである。今後数ヶ月は2%から4%増加すると予測している。 |
8 | Miscellaneous Manufacturing その他製造業 | 景気見通しは全体的に安定している。幾つかの原材料のリードタイムが改善しつつあり、顧客の受注残を処理している。 |
9 | Electrical Equipment, Appliances & Components 電気機具・部品 | 売上が増加しており、新たな顧客需要に対応するため、工場と組立に圧力がかかっている。 |
10 | Nonmetallic Mineral Products 非金属鉱物製品 | 2023年を少し振り返り、2024年にページを戻した。1月の天候の影響により、幾つかの操業が休止となり、出荷に影響が出た。 |