4. 中国の製造業景況感
財新/S&Pグローバルが2日発表した12月の中国製造業購買担当者景気指数(PMI)は50.8と、11月の50.7から小幅上昇し7カ月ぶりの高水準となった。生産と新規受注の伸びが寄与した。ただ、2024年の景況感は依然として冴えない。PMIは50が景況改善・悪化の分岐点となる。市場予想は50.4だった。
中国国家統計局が先月31日に発表した12月の製造業PMIは49.0で11月の49.4から低下、予想の49.5も下回っていた。財新のPMIでは生産が5月以来の高い伸びを記録。堅調な需要と顧客の支出回復により新規受注の伸びも10カ月ぶり高水準となった。新規輸出受注は減少ペースが鈍化した。一部企業が11月からの外需改善を報告した。24年の見通しについては楽観的な見方を維持したものの、11月から後退。長期トレンドを依然として下回っている。顧客の予算縮小、厳しい競争、市場低迷などが主な懸念材料と言う。完成品の在庫は、顧客への出荷が遅れたこともあり、僅かに増加した。投入コストは12月も上昇が続いたが、インフレ率は4カ月ぶりの低水準に鈍化した。需要が予想を下回る中、雇用は4カ月連続で減少。減少ペースは5月以来の大きさとなった。財新智庫のエコノミストは「市場の需給拡大は雇用増加に繋がらなかった」と述べ、現在の市場環境下では注文が増加しても既存の生産能力で十分対応できるという声が聞かれたと指摘した。新年に向けて財政政策と金融政策には、まだ調整余地があるとし、雇用市場の圧力を緩和するために雇用を増やす取り組みの強化が必要だとした。
中国国家統計局PMIは製造業3200社を対象に調べる。新規受注や生産、従業員数など項目ごとに調査する。50を上回れば前月より拡大、下回れば縮小を示す。 |
PMI(中国製造業購買担当者景気指数) |
全国の製造業約820社の購買担当者を対象にしたアンケート調査。生産や受注について50を上回ると拡大,下回ると減少を示す。非製造業には建設,郵便,ソフトウェア,航空,鉄道,小売り,ケータリングが含まれる。 |
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