2023年12月報告

1. 米製造業景況感指数:製造業回答者の声

Manufacturing PMI® at 46.7%

November 2023 Manufacturing ISM® Report On Business®

  • New Orders and Backlogs Contracting

新規注文と受注残は縮小傾向

  • Employment and Production Contracting

雇用と生産は縮小傾向

  • Supplier Deliveries Faster

サプライヤー出荷は加速基調

  • Raw Materials Inventories Contracting; Customers’ Inventories Too High

原材料在庫は縮小;顧客在庫過多

  • Prices Decreasing; Exports and Imports Contracting

価格は下落基調;輸出・輸入は縮小

【解説】 米サプライマネジメント協会(ISM)が1日発表した11月の米製造業景況感指数は前月と変わらず46.7で、好不況の分かれ目となる50を13カ月連続で下回った。ファクトセットによると、18カ月連続で不況水準だった2000年8月〜02年1月以来の長さだ。市場予想の47.7には届かなかった。生産や雇用といった主要指標が落ち込み、先行きに懸念が広がっている。ISMによると、一般的にPMIが48.7を下回ると経済全体の縮小を示す。ただ、米商務省が11月29日に発表した23年第3・四半期の実質国内総生産(GDP)改定値は年率換算で前期比5.2%増と、速報値の4.9%増から上方改定された。 先行指標となる新規受注指数は48.3と10月の45.5から上昇した。価格指数は10月の45.1から49.9に上昇し、7カ月ぶりの高水準となった。供給業者の納入を示す指数は前月の47.7から46.2に低下。50を下回ると工場への納品が速くなることを示す。雇用指数は10月の46.8から45.8に低下した。拡大したのは、食品・飲料・タバコ、輸送用機器、非金属鉱産物の3業種。縮小したのは紙製品、電気機器、家電・部品、コンピューター・電子製品、機械などの14業種。

米ISM製造業景況感指数
製造業約350社の購買担当者に対し受注や生産状況をアンケート調査により聞き取りし、月初めの第1営業日(その2日後に非製造業を公表)に公表している統計。日本の企業短期経済観測調査(日銀短観)に似た統計といえます。米主要統計の中でも最も早く月初めに発表されるため、市場関係者の注目度が高く、景気の先行指標とされています。一般に好不況の判断の境目とされる50%を割れると景気後退で、50%を超えると景気拡大と判断されます。GDPとの関連性を持たせるために2008年1月分の統計より算出方法が変更され、現在は「新規受注・生産・雇用・入荷遅延・在庫」の5項目(比率はそれぞれ20%)につき、「増加、同じ、減少」の回答結果をもとに算出する。民間調査機関13社の予測値(中心値)が前もって出回るので、リリース時にはそのギャップも重要になります。

製造業回答者の声WHAT RESPONDENTS ARE SAYING …

1Chemical Products 化学製品景気の軟化を感じ始めており、重要な役割を担う労働力の補充が課題となっている。2024年の予測は、特にコスト面で厳しいと思われる。
2Transportation Equipment 輸送機械マイクロチップの供給問題はほぼ全て解決され、三年間続いたチップ不足にようやく終止符が打たれた。材料価格は比較的横這いで推移している。全米自動車労組のストライキ中の困難の結果、サプライチェーンの問題は、幾つかの分野で続いている。
3Food, Beverage & Tobacco Prod 食品・飲料・煙草当社幹部は、在庫水準を大幅に引き下げるよう要請しており、顧客不足を引き起こし始めている。完成品も、原材料や包装資材の低在庫も、顧客の需要を満たす中で問題を発生させており、場合によっては深刻な生産遅延を引き起こしている。
4Computer & Electronic Products         コンピュータ・電子製品景気は劇的に減速しているようだ。顧客からの注文は押し出されており、押し出された注文の在庫保有コストを軽減するためにも、また冷延鋼板のようにコストが爆発的に上昇している在庫を積み増すための両方で、在庫水準を適正化する努力が払われている。
5Primary Metals   一次金属全米自動車労組のストライキ後、顧客はオンラインに戻った。ストライキ・バンクとして構築された在庫を消費している。時給職と給与職の両方について、質の高い候補者の採用にまだ問題を抱えている。現在庫水準は高過ぎるが、受注は好調を維持している。
6Nonmetallic Mineral Products          非金属鉱物製品来年を予測するのは難しいので、当社の状況は良いが油断できない。市場には不透明感が漂っており、維持保全やプロジェクト・コストに対するインフレの影響も顕在化してきている。
7Machinery        一般機械主要な建設季節が終わり、顧客の設備投資購入が早期に後退したため、第4四半期の受注残は減少した。
8Fabricated Metal Products 金属加工製品自動車販売は依然として全米自動車労組のストライキの影響を受けている。当社は、依然、受注待ちであり、ストライキ期間中に増加した在庫水準を引き下げる必要がある。これは12月に起こる可能性が高い。
9Miscellaneous Manufacturing    その他製造業顧客からの注文が 2024 年第 1 四半期にずれ込んだため、期末在庫が膨らんでいる。
10Wood Products   木材製品資金調達コストの高騰が住宅投資需要を減退させている。当社の製品・サービスの新規受注が減少し、事業にマイナス影響が出ている。生産と完成品在庫のために仕入れを抑えている状況だ。