2023年10月報告

4. 中国の製造業景況感

財新/S&Pグローバルが1日発表した9月の中国製造業購買担当者景気指数(PMI)は50.6と前月の51.0から低下し、市場予想の51.2を下回った。生産は増加したが外需の低迷が重しとなった。生産と新規受注は拡大基調を維持したが、外需は引き続き弱く輸出受注指数は3カ月連続で好不況の境目となる50を下回った。財新智庫のシニアエコノミストは「内需は不足し外需は不透明で雇用市場には圧力がかかっている」として「景気回復の基盤はまだ固まっていない」との見方を示した。経営者の今年の景況感は12カ月ぶりの低水準となった。消費財、投資財、中間財のメーカーはいずれも従業員を削減した。化学品、原油、工業用金属の価格上昇により投入価格指数は1月以来の高水準となった。同エコノミストは「経済安定化策の実施と効果が次の焦点になる。雇用と所得を増やすためには一段の取り組みが必要かもしれない」と語った。S&Pグローバル・レーティングスは「中国当局が数カ月以内に大規模な財政・金融刺激策を打ち出すとは予想していない」と指摘した。

PMI(中国製造業購買担当者景気指数)
全国の製造業約820社の購買担当者を対象にしたアンケート調査。生産や受注について50を上回ると拡大,下回ると減少を示す。非製造業には建設,郵便,ソフトウェア,航空,鉄道,小売り,ケータリングが含まれる。
2009年設立の財新/S&Pグローバル
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