5. 内閣府景気ウォッチャー調査
8月の現状判断DI(季節調整値)は、前月差0.8ポイント低下の53.6となった。家計動向関連DIは、小売関連が上昇したものの、飲食関連等が低下したことから低下した。企業動向関連DIは、非製造業等が低下したことから低下した。雇用関連DIについては、低下した。8月の先行き判断DI(季節調整値)は、前月差2.7ポイント低下の51.4となった。家計動向関連DI、企業動向関連DI、雇用関連DIが低下した。なお、原数値でみると、現状判断DIは前月差1.3ポイント低下の52.8となり、先行き判断DIは前月差3.0ポイント低下の50.0となった。今回の調査結果に示された景気ウォッチャーの見方は、「景気は、緩やかに回復している。先行きについては、価格上昇の影響等を懸念しつつも、緩やかな回復が続くとみている。」とまとめられる。
内閣府景気ウォッチャー調査 |
地域の景気に関連の深い動きを観察できる立場にある人々の協力を得て,地域ごとの景気動向を的確かつ迅速に把握し,景気動向判断の基礎資料とすることを目的とする。調査は毎月,当月時点であり,調査期間は毎月25日から月末である。本調査業務は,内閣府が主管し,下記の「取りまとめ調査機関」に委託して実施している。各調査対象地域については,地域ごとの調査を実施する「地域別調査機関」が担当しており,「取りまとめ調査機関」において地域ごとの調査結果を集計・分析している。 |
2.サプライチェーン関連記事抜粋:令和5年8月1日~8月31日 ※下線用語解説
主題 | 概要 | |
1 | 総合商社、石炭火力の出口探る | インドネシア発電、脱炭素の波 ESG重視で厳しい状況:理想と現実、大きな差 |
2 | 生成AIで企業7割時短 | 100社調査:導入の狙いは労働時間の削減 生産性の向上、コスト削減 |
3 | 民需なき「官製都市」広がる | 人口減、財政を圧迫 再開発3割、自治体が施設購入 |
4 | 中国CATL好調こその備え | 車載電池世界最大手:EV電池成長 純利益2.5倍 調達網拡大・市場開拓急ぐ |
5 | リオティントがEVダンプ | 脱炭素1兆円投資 列車も電動、鉄鉱石の鉱山 |
6 | テスラ電池、中国依存4割 | 推定取引先1万3千社分析 EV供給分断に懸念:代替調達先の確保急ぐ |
7 | 地球沸騰 生産性に影 異常気象が日常に | 世界の7月気温:観測史上最高 ILO予測:2030年に350兆円損失 |
8 | 半導体工場 誘致で火花 | インド、1.3兆円の補助金、タイは法人減税 米中分断の受け皿狙う |
9 | 世界景気、中国変調が影 | 7月の生産鈍化、若年失業率公表せず 日本は6%成長 |
10 | インドネシア高速鉄道「10月に」 | 東南アジア初、5年遅れで開業 「一帯一路」の象徴:政治日程も左右 |
11 | きしむ中国成長モデル | 不動産依存に限界 最大手・碧桂園に経営不安 |
12 | 欧州委員会、幹部2人辞任へ | EU政策 停滞の懸念も デジタル・環境のけん引役 |
13 | 空調冷媒、欧州規制に対応 | 温暖化抑制へ切り替え 代替フロンへの規制:日米市場にも広がる可能性 |
14 | 病院運営 経費1~2割減 | 医療介護大手シップHD、費用や収入「見える化」 代替品で改善策提示:エフエスユニマネジメント |
15 | 重要鉱物探査、AIで早く:米新興に280億円出資 | 供給網、脱中国を後押し 半導体・電池材の試掘制度10倍:米コボルトメタルズ |
16 | 対アフリカ戦略の基盤に | TICAD30年、支援は質重視 「法の支配」で中国と対峙 |
≪用語解説:記事内の用語と企業を確認しましょう≫
CATL, Contemporary Amperex Technology:寧徳時代新能源科技 |
中国にある世界最大手の電気自動車用の電池メーカー。2011年に、曾毓群と黄世霖が中心となり設立。2人は家電用リチウムイオン電池メーカーである香港アンプレックステクノロジー(ATL)出身だが、そのATLは、日系企業であるTDKの上釜健宏元会長が中国駐在していた時の部下たちが立ち上げたスタートアップ企業だった。こうした縁からATLはTDKの子会社になり、Apple製品のバッテリーに採用されたことで利益を上げ、その中の車載電池部門が分離・独立してCATLが発足した。電気自動車やエネルギー貯蔵システムのバッテリー管理システムのリチウムイオン電池のほか、バッテリーマネジメントシステム(BMS)の製造を行っている。福建省の寧徳市に本社を置き、寧徳市、青海省、溧陽市に製造拠点がある。主要研究開発センターは寧徳市とベルリンであったが、2018年5月に横浜市にも営業と開発の拠点を開設した。CATLの年間販売量は2016年のエネルギー貯蔵能力の6.8GWhに達した。同社は2020年までに50GWhのリチウムイオンの生産能力を目標としている。2017年には出荷量でパナソニックを抜いて電気自動車用の電池メーカーで世界一となった。2018年7月にドイツのテューリンゲン州に海外初の工場の建設を発表した。2019年7月に、ネクストエナジーと提携し、住宅・産業向けに低価格の蓄電池を2020年に日本で発売すると発表した。20年発売予定だったが、19年11月にはCATLの電池セルを搭載した「iedenchiシリーズ」がネクストエナジーから販売開始された。 |
テスラのEV電池、中国依存4割 供給分断に懸念 |
テスラのEV電池、推定取引先1万3000社分析 代替調達先の確保急ぐ。電気自動車(EV)の材料で中国の存在感が増している。米テスラの推定取引先1万3428社を分析したところ、蓄電池の領域で中国企業の割合が4割となり、国・地域別で最も多かった。経済安全保障上の重要物資の確保に向け、各国が規制強化や投資拡大を繰り広げ始めている。EVの心臓部ともいえる電池の材料分野では中国が主導権を握りつつある。 ![]() |
碧桂園(Country Garden、カントリーガーデン) |
中華人民共和国の不動産開発企業。デベロッパー。広東省佛山市順徳区に本社を置く。1992年、創業者の楊国強は仲間とともに不動産開発を業務とする碧桂園を創業。次第に香港の富裕層が碧桂園の物件を購入するようになり発展、2007年には香港証券取引所へ上場した。2009年、リーマンショック直後の世界的な景気後退の局面で、中国政府が取った経済対策により国内の不動産価格が上昇。碧桂園は不動産ブームに乗じて業務を拡大、莫大な利益を上げるようになった。この年を「第二次創業」として位置づけている。2017年の契約販売額は、暫定ベースで5508億元に達した。一方、会社の経営は、創業者の楊国強が2005年に自社の過半数株式を娘の楊恵妍に譲渡として実質的な後継者として位置づけ、2018年には楊国強と楊恵妍が共同で会長職についた。特徴は、カントリーガーデンの名の通り地方都市の開発に注力していることで、2022年は三線都市、四線都市とよばれる地方都市からの収入が6割を占めていた。2020年代に入ると中国政府は、不動産事業への引き締めを強化したほか、ゼロコロナ政策を取ったことにより生産・消費の停滞。2021年には恒大集団を始めとした中国国内大手の不動産デベロッパーが経営危機にさらされた。 そのような企業が出る中でも、碧桂園は流動性危機による痛手をさほど受けていない質の高い業者と見られていたが、2022年以降に経営環境が急速に悪化。 2023年8月7日、碧桂園もドル建て債の利払い(総額2250万ドル)が履行できなくなり債務不履行の危機に直面した。 同年8月30日、同年1月から6月期決算を発表。物件の販売不振や不動産開発プロジェクトの評価損が災いし、純損益が約490億元(約9800億円)の赤字と前年同期の黒字から大幅に収益が悪化した。 |
空調冷媒、欧州規制に対応 温暖化抑制へ切り替え |
パナ、省エネ暖房の5割 三菱電機は来年度エアコンも日本の空調メーカーが欧州で温暖化への影響が小さい冷媒への切り替えを急いでいる。パナソニックは冷媒にプロパンを使ったヒートポンプ暖房の新機種を5月に発売し、2025年度には販売台数の5割以上を新冷媒に切り替える。三菱電機は24年度にもプロパン冷媒の家庭用エアコンを投入する。欧州で温暖化への影響の大きい代替フロンへの規制が強化されていることに対応する。![]() |
医療介護大手シップヘルスケアホールディングス(HD) |
病院のコストを1~2割削減できるシステムを開発した。医療用資材の使用データを分析して、代替品の提案など改善シミュレーションを提示する。他の病院とも比較でき、経営効率化に活用してもらう。国内の病院の7割は実質的に赤字とされ、医療体制の維持には経営改革が欠かせなくなっている。![]() |
株式会社エフエスユニマネジメント |
設立1987年4月 代表取締役社長 菊地 秀二 事業内容 病院内外における医療物流管理システム(SPD)サービス 総合医療物流におけるリーディングカンパニー 医療の現場で働く人と経営を支えるマネジメントパートナー 同社は、総合医療物流(=トータルSPD)を請け負う専門カンパニーとして設立した。同社が提案し、そして提供しているのは総合医療物流の「真の『一元管理』」の理想のために、より幅広く、より深く、飽くなき追求を続ける。 物品一括調達システム:診療材料・医薬品などの一括調達業務を実施することで、材料費の削減、事務作業の効率化、病院在庫の負担軽減を実現し、病院経営に寄与する。![]() |
シリコンバレー最新のユニコーンは「鉱業」会社 |
AIを駆使して銅やリチウムを採掘するコボルドが2億ドルを調達、ビル・ゲイツ氏らが支援:テクノロジー業界有数の著名投資家らが、シリコンバレー最新のユニコーン(評価額10億ドル以上の未上場企業)への投資を上積みしている。鉱業スタートアップのコボルド・メタルズだ。同社は人工知能(AI)を使用して銅やリチウム、コバルトなどの金属を探査する企業で、米カリフォルニア州バークリーを拠点とする。共同創業者で最高経営責任者(CEO)のカート・ハウス氏によると、新たな資金調達ラウンドで約2億ドル(約283億円)を調達している。 ![]() |