2023年9月報告

2. 米非製造業景況感指数:非製造業回答者の声

Services PMI® at 54.5%

August 2023 Services ISM® Report On Business®

 Index指数6月7月8
1.Business Activity Index事業活動指数59.257.157.3
2.New Orders  Index新規注文指数55.555.057.5
3.Employment Index雇用指数53.150.754.7
4.Supplier deliveries indexサプライヤー出荷指数47.648.148.5

This report reflects the U.S. Department of Commerce’s recently completed annual adjustments to the seasonal adjustment factors used to calculate the indexes.

(本報告書は米国商務省の直近に発表された年間調整を本指数計算での季節調整済み要因に反映している)

【解説】 米サプライマネジメント協会(ISM)が6日発表した8月の非製造業(サービス業)景況感指数は54.5と前月比で1.8ポイント上昇した。ほぼ横ばいを見込んでいた市場予想を上回り、2月以来半年ぶりの高水準になった。米景気の強さやインフレ圧力が意識され、市場では米金利上昇やドル高が進んだ。主な項目では新規受注が57.5と2.5ポイント上昇した。宿泊・飲食サービスや小売り、運輸・倉庫など12業種で受注が拡大し、縮小した3業種を大幅に上回った。PNCフィナンシャル・サービシズ・グループのシニアエコノミストは新規受注の好調を踏まえ「米国の消費者や企業活動は金利上昇や債務の蓄積、貯蓄の枯渇といった重力に逆らい続けている」と指摘した。雇用環境を示す指数は54.7と4ポイント伸びた。他の雇用関連統計では求人減や失業率の上昇など労働需給が緩む兆しもみえるが、サービス業については一定の雇用拡大が続いていることを示した。ウェルズ・ファーゴのシニアエコノミストは「労働市場全体で賃金の上昇は緩やかになってきたが、高止まりが続きそうだ」とみる。サービス業が仕入れなどで支払う価格指数は58.9と2.1ポイント上がり、2カ月連続で上向いた。足元の原油価格の上昇に加え、人件費などのコスト高を反映したとみられる。バークレイズのエコノミストチームは「インフレの減速が持続するかどうかは不確実性が高いことを強調する内容だった」と指摘した。ISMの8月の米製造業景況感指数は10カ月連続で50を下回った。米連邦準備理事会(FRB)による昨春以降の大幅利上げがモノの需要や価格の落ち着きに一役買っているが、サービス消費はなお底堅い。6日の米債券市場ではサービス業の景況感の強さを確認し、FRBの追加利上げへの思惑から政策金利の変動に敏感な2年物国債利回りが上昇(価格は下落)した。およそ1週間ぶりに5%の大台を回復した。株式市場ではハイテク株中心のナスダック総合株価指数が前日比1%下げた。ハイテク株は金利上昇が将来の企業価値評価の重荷になり、売り圧力がかかりやすい。外国為替市場では米金利上昇でドルが買われた。対ドルの円相場はISMサービス業景況感指数の公表後に50銭ほど円安・ドル高が進み、おおむね1ドル=147円台後半で推移した。

サービス業回答者の声WHAT RESPONDENTS ARE SAYING

1Construction 建設工事全米規模での売上は堅調である。原材料価格は安定しており、当社は、コスト削減の余地を見出している。材料入手可能性は、新型コロナウイルス感染症以前の水準に戻っている。
2Health Care & Social Assistance        医療・健康管理・社会支援人件費は軟化し続けているが、医薬品や消耗品のコストは依然、高止まりで、営業利益率に悪影響を及ぼしている。サプライチェーンは一貫して稼働しているも、一部の科目分類の供給は依然、制限されている。患者数と収益は、当月、僅かに減少したが、新学期が近づくにつれ回復しているようだ。予測は引き続き慎重だが楽観的だ。
3Professional, Scientific & Technical Services 専門的、科学技術的サービス夏の休暇による景気低迷は、近年の状況と同様で、第3四半期の予測は期待に近い。インフレコストは、主に燃料と燃料関連商品に発生し、利益に悪影響を及ぼしている。
4Management of Companies & Support Services         企業経営・支援サービスサプライチェーンの課題は、米国外で製造された製品と部品が含まれ、出荷遅延や問題が発生する可能性があるため、当社の購入品の一部に影響を与えている。資材等の価格が若干値上がりし、重要なサプライヤーの財務上の問題により、一部の直接材料の流通が変更された。
5Retail Trade      小売業企業活動は引き続き前年同期比で低迷するも、当社は年初から現在までの予測を達成している。
6Real Estate, Rental & Leasing不動産・賃貸・リース金利の急速な上昇により住宅建設が明らかに減速しているものの、全体的な状況は非常に良好であるようだ。
7Utilities 社会生活基盤公共事業請負業者の需要はじょうしょうしている。
8Accommodation & Food Services      宿泊・飲食サービスレストランの売上高と来店者数の傾向は、前年比と新型コロナウイルス疫病流行前と比べ上向きを維持している。雇用は安定しており、優秀な人材が揃っている。 7月のカリフォルニア州の新しい規制には、(地方自治体の)最低賃金引き上げと提案12(家畜の健康と福祉に関する法律)の実施が含まれ、その結果として豚肉価格が大幅に上昇した。
9Mining 鉱山業石油・ガスの生産・販売量は堅調だが、相場商品価格の下落は底を打ったように見える。
10Public Administration行政・公的事務価格は落ち着き、2024年に景気後退が起こる可能性があるという警告は、経営トップには、あまり真剣に受け止められていない。専門家は、この国は、今頃景気後退に陥るだろうと警告した。当社の一般的な感覚としては、インフレを抑制し、経済の軟着陸を構築する連邦準備制度の戦略が予想よりもうまく機能しているということだ。市は10月1日から始まる会計年度の市税を減額することを提案している。