2.編集後記
フランスには、国家購買局 (DAE) という組織がある。同組織は、財務・公会計大臣の下に置かれる省庁間部門で、首相の権限の下、防衛・安全保障購入を除く国家購買政策を定義し、会議内の省庁との協議を経てその実施を保証するものとされている。DAEは主要な国内省庁間契約を管理し、特定の購買セグメントを 13 の地域購買プラットフォームに委任して、地域レベルで省庁間契約を管理できるようにし、中小企業が政府契約に容易に接近接触できるようにする。州の省庁や公共機関に対し、購買機能の効率的な組織化について助言し、購買研修の提供を管理、表示し、専門化された購買部門を開発する。国家の購買情報システムと、州と公共施設からの購買職の専門的なソーシャルネットワークを管理する組織である。
筆者が思うのは、日本政府内にDAEのような同様の組織がないことだ。10年ほど前に民主党の行政刷新会議に呼ばれ政府調達について話したことがあるが、同席した外資系コンサルタント数名が声高に教科書のように調達のあり方を語っていたのを覚えている。果たして役人には通じたかどうか、政権が変わってからお呼びでなかったようだ。以下に参考までに前述の国家購買局 (DAE)の概要を記す:

予算省に所属する国家購買局 (DAE) は、政府として次を担当する:
- 国の購買政策を定義し、その実施を確実にする。
- 同じ分野に属し、複数の部門に共通するニーズに関連する購入に関する部門間の戦略を策定する。
- 工事、サービス、物資に関して国家サービスのニーズを満たすことを目的とした公的契約を締結する。
- 国の購買と公共施設の購買が国全体の購買方針を尊重し、最も経済的に有利な条件の下で実行されることを保証すること、持続可能な開発と社会開発の目的を尊重すること、中小企業の公共調達へのアクセスを促進し、イノベーションの普及に貢献する条件の下でそれらが実行されることを保証する。
国家購買サービスは、国の管轄権を持つサービスとして 2009 年に創設され、2016 年に総局となった。近年、公共部門における「購買」機能は大幅に進化し、戦略的な機能となっており、国家内では、この戦略は幾つかのレベルで適用される。中央レベルでは、2016 年に行動公会計省内に設立された州購買局 (DAE) が、州の「購買」政策を定義する役割を担い、省レベルでは、大臣購買管理者が大臣のニーズを確実に考慮し、省内での購買機能を主導する。一方、地域レベルでは、地域購買プラットフォームが分散型サービスと公共事業者のニーズの統合に貢献しながら、その地域の範囲内で国のために購入を行う任務を負う。
サプライマネジメント協会が所有する購買資格制度CPSMの中でも米国連邦政府の調達に関する講義をしているが、現在のところ米連邦政府の年間調達額は6,000億ドルで、そのほぼ半分はヘリコプターのブレードから、トラック、オフィス家具にわたる工業製品であり、連邦政府は多くの商品・サービス市場で主要な購入者となっており、世界最大の消費財の単一購入者であるとされている。今後、他国の政府調達の実態についても調べることは、民間の企業購買戦術にも大いに参考となるであろう。
以下余白
月報編集室:主筆 上原 修 CPSM, C.P.M. JGA 特定非営利活動法人