2023年7月報告

1. 米製造業景況感指数:製造業回答者の声

Manufacturing PMI® at 46.0%

June 2023 Manufacturing ISM® Report On Business®

  • New Orders, Production, Employment and Backlogs Contracting

新規注文、生産、雇用と受注残は縮小傾向

  • Supplier Deliveries Faster

サプライヤー出荷は加速基調

  • Raw Materials Inventories Contracting; Customers’ Inventories Too Low

原材料在庫は縮小;顧客在庫過少

  • Prices Decreasing; Exports and Imports Contracting

価格は下落基調;輸出・輸入は縮小

【解説】 米サプライマネジメント協会(ISM)が3日発表した6月の米製造業景況感指数は前月から0.9ポイント低い46.0となった。生産や雇用環境が落ち込んだ。2020年に新型コロナウイルス禍に入った時期を除き、リーマン・ショック後となる09年5月以来、14年ぶり低水準だ。製造業は不況への懸念を強めている。前月の46.9から悪化し、2020年5月以来の低水準となった。拡大・縮小の分岐点となる50を下回るのは8カ月連続で、2008年のグレート・リセッション(大不況)以来最長。ロイターがまとめたエコノミスト予想の47も下回った。ただ、製造業部門の価格圧力の低下のほか、輸送機器、機械、電気機器、家電製品・部品などの堅調な需要を反映し、一部の業種が力強さを保っていることも示された。構成指数では、先行指標となる新規受注指数が45.6と、前月の42.6から改善した。価格指数は41.8と、前月の44.2から低下。供給網の逼迫の大幅な緩和のほか、借入コストの上昇を受けた需要減退を反映した。雇用指数は48.1と、51.4から悪化した。ISM製造業調査責任者ティモシー・フィオーレ氏は、製造業では人員管理に向けたレイオフが見られると指摘。その程度はこれまでの数カ月よりも大きくなっているほか、「大幅な」伸びがいつ戻るかに関する見解もまちまちとした。キャピタル・エコノミクスは「リセッション(景気後退)が差し迫っていると疑う理由が更に増えた」と述べた。

米ISM製造業景況感指数
製造業約350社の購買担当者に対し受注や生産状況をアンケート調査により聞き取りし、月初めの第1営業日(その2日後に非製造業を公表)に公表している統計。日本の企業短期経済観測調査(日銀短観)に似た統計といえます。米主要統計の中でも最も早く月初めに発表されるため、市場関係者の注目度が高く、景気の先行指標とされています。一般に好不況の判断の境目とされる50%を割れると景気後退で、50%を超えると景気拡大と判断されます。GDPとの関連性を持たせるために2008年1月分の統計より算出方法が変更され、現在は「新規受注・生産・雇用・入荷遅延・在庫」の5項目(比率はそれぞれ20%)につき、「増加、同じ、減少」の回答結果をもとに算出する。民間調査機関13社の予測値(中心値)が前もって出回るので、リリース時にはそのギャップも重要になります。

製造業回答者の声WHAT RESPONDENTS ARE SAYING …

1Chemical Products 化学製品顧客注文は明らかに減少している。当社は、2023 年下半期は上半期よりも良くなると考えていたが、そうではないようだ。
2Transportation Equipment 輸送機械第 2 四半期の売上が減少し、在庫水準が上昇するのではないかという懸念があった。但し、需要はこれまでのところ安定しており、年末の総売上高は昨年とほぼ同じになると予測している。
3Food, Beverage & Tobacco Prod 食品・飲料・煙草景気後退への懸念がぼんやりと迫り、資本計画の見直し水準が高まっている。遅れはないが、支出と計画は管理され、優先順位が付けられている。
4Machinery 一般機械受注と景気は安定しており、受注残も健全だが、新規受注見込みは 2024 年に延期されるようだ。
5Computer & Electronic Products         コンピューター・電子製品米国経済の減速により、2023 年の残り期間の業績予想が修正や引き下げられる。顧客は、かなり前に購入するという傾向が弱まっている。
6Fabricated Metal Products 金属加工製品北米の需要は安定しているが、欧州市場は2023年後半と2024年に減速を示している。
7Petroleum & Coal Products        石油・石炭製品市場は 2023 年の第 2 四半期には安定しつつあり、殆どの汎用化学物質では下降傾向にあるようだ。しかしながら、需要と供給の関係は顧客の好意と愛顧に移ってきた。
8Nonmetallic Mineral Products        非金属鉱物製品今年もほぼ半分が終わった。物事は困難である一方で、当社は順調に進んでいるかも知れない。
9Paper Products   紙製品材料の投入原価は低下し続けている。需要はインフレを考慮して、ほぼ 2019 年の水準に達する傾向にある。新型コロナウイルスが押す需要は落ち着いている。
10Primary Metals   一次金属堅調な受注残を維持している。時給制の工場労働者の雇用と有能な管理職候補者の確保に引き続き苦戦しており、離職率は希望を上回っている。価格は安定してきたが、人件費は依然高止まりだ。