5. 内閣府景気ウォッチャー調査
5月の現状判断DI(季節調整値)は、前月差0.4ポイント上昇の55.0となった。家計動向関連DIは、飲食関連等が上昇したものの、住宅関連等が低下したことから横這いとなった。企業動向関連DIは、製造業等が上昇したことから上昇した。雇用関連DIについては、上昇した。5月の先行き判断DI(季節調整値)は、前月差1.3ポイント低下の54.4となった。企業動向関連DI及び雇用関連DIが上昇したものの、家計動向関連DIが低下した。なお、原数値でみると、現状判断DIは前月差1.2ポイント低下の54.5となり、先行き判断DIは前月差0.4ポイント低下の54.8となった。今回の調査結果に示された景気ウォッチャーの見方は、「景気は、緩やかに回復している。先行きについては、価格上昇の影響等を懸念しつつも、緩やかな回復が続くと見ている。」とまとめられる。
内閣府景気ウォッチャー調査 |
地域の景気に関連の深い動きを観察できる立場にある人々の協力を得て,地域ごとの景気動向を的確かつ迅速に把握し,景気動向判断の基礎資料とすることを目的とする。調査は毎月,当月時点であり,調査期間は毎月25日から月末である。本調査業務は,内閣府が主管し,下記の「取りまとめ調査機関」に委託して実施している。各調査対象地域については,地域ごとの調査を実施する「地域別調査機関」が担当しており,「取りまとめ調査機関」において地域ごとの調査結果を集計・分析している。 |
2.サプライチェーン関連記事抜粋:令和5年5月1日~5月31日
主題 | 概要 | |
1 | 生成AI半導体、速度12倍 米対台連合で年内投入 | 半導体設計大手の米エヌビディアと半導体受託生産首位TSMC:前者は世界シェア8割握る |
2 | デジタル技術で歯科改革 技工士の生産性向上 | 歯科業界スタートアップがデジタル技術で改革 歯科情報サイトを運営するWHITE CROSS |
3 | 米、中国発「シーインShein」を標的 | 新疆ウイグル自治区での人権侵害や個人情報漏洩への懸念:華為技術やTikTokに続く新たな火種 |
4 | インド車、アフリカに照準 スズキ系、輸出増へ生産能力2倍 | インドで自動車メーカーが生産能力を増強する:韓国・現代自動車や地場大手タタ自動車も生産拡大目指す |
5 | 部品在庫リスク:村田製作所「見える化」 | スマートフォン部品の工場で生産ラインをヒートマップで監視するシステムを導入 |
6 | 日越協力:製油所、迫る停止 | ベトナム最大の製油所で出光興産が主導する「ニソン製油所」が稼働停止の危機に直面 |
7 | IBM「AIで雇用創出」 CEO「5年後、事務30%代替」 | 米IBMアービンド・クリシュナCEO:文章や画像を生成する高度な人工知能の登場で働き方が大きく変わる |
8 | 医療にブロックチェーン 医薬品の追跡や治験の照合作業 | 情報管理にコストがかかる医薬品の流通や臨床試験などを効率化できれば医療費の低減に繋がる |
9 | 東邦チタニウム、脱ロシア需要でチタン増産 航空機用 | 2023年内を目途にサウジアラビアのチタン製品工場の稼働率をフル稼働に高め、航空機向けに供給する |
≪用語解説:記事内の用語と企業、統計図表を確認しましょう≫
生成的人工知能generative artificial intelligence |
プロンプトに応答してテキスト、画像、または他のメディアを生成することができる人工知能システムの一種。ジェネレーティブAI、ジェネラティブAIとも呼ばれる。生成AIモデルは、入力された訓練データの規則性や構造を学習し、同様の特性を持つ新しいデータを生成する。著名な生成AIシステムとして、OpenAIがGPT-3やGPT-4の大規模言語モデルを使用して構築したチャットボットのChatGPTや、GoogleがLaMDA基盤モデルに構築したチャットボットBardがある。その他の生成AIモデルとして、Stable DiffusionやDALL-Eなどの人工知能アートシステムが挙げられる。生成AIは、アート、執筆、ソフトウェア開発、ヘルスケア、金融、ゲーム、マーケティング、ファッションなど、幅広い業界で応用できる可能性がある。生成AIへの投資は2020年代初頭に急増し、Microsoft、Google、Baiduなどの大企業だけでなく、多数の中小企業も生成AIモデルを開発している。しかし、人をだましたり操作したりするフェイクニュースやディープフェイクの作成など、生成AIの悪用の可能性も懸念されている。 ![]() ( |
Sheinシーイン |
中華人民共和国のオンラインファストファッション小売業者。世界220か国で販売を行う越境EC企業となり、中国の「ZARA」とも呼ばれ、圧倒的低価格な衣料業者として認知されている。2008年10月、中国南京市でITエンジニアであった许仰天ことクリス・シュー(Chris Xu)によって設立され南京希音電子商務として創業しZZKKOブランドとしてウェディングドレスのネット通販を前身とし、設立当初は小売業者ではなく、ドロップシッピング業者と見做されていた。2021年時点で同社は衣料品のデザインや製造には一切関与しておらず、世界の衣料工場と呼ばれる広州の衣料品市場から製品を調達している。2022年時点で評価額は1,000億ドル(約12兆3,700億円)を突破し、これは大手ファストファッションブランドである「ZARA」と「H&M」を合わせた時価総額である約10兆円を越える金額となり、1,000億ドルを越える株式未上場のヘクトコーン企業としてはTikTokを運営するバイトダンス(約44兆7,000億円)と、アリババ系フィンテック企業であるアントグループ(約39兆6,000億円)の3社のみとなる。2014年、同社は中国のeコマース事業者であるロムウィーの買収を行い完全子会社とする。2021年頃から同社はデザインの盗用や商標など知的財産権の侵害、労働者に対する人権侵害や製品の安全性や健康上の懸念など、幾つかの問題が取り沙汰されており、ブルームバーグ ビジネスウィークなどに依れば、シーインのビジネスモデルは米中貿易戦争の恩恵を受けているとの報道がなされている。 ![]() |
ヘクトコーン企業 創業まもなく急成長を果たした通称「ユニコーン企業」のうち、企業評価額が1000億ドルを突破した企業、という意味で用いられる表現。ヘクトコーン企業の「ヘクト」(hecto-)は「100倍」を意味する英語の接頭辞。企業評価額が100億ドル以上の企業はデカ(10倍)を使って「デカコーン企業」と呼ばれたりもする。ユニコーン企業は「創業10年未満」「未上場」「企業評価額10億ドル以上」「テック系企業」という四つの要素を満たすスタートアップ企業のことでユニコーン企業そのものがきわめて稀少である。 |
ニソン製油所 |
ベトナムの旺盛な石油製品の国内需要は、国内唯一のズンクアット製油所と輸入により賄われていたが、国内での供給を安定化させるべく、ベトナムにおける2基目の、ニソン製油所・石油化学コンプレックス・プロジェクトが立ち上がった。ニソン製油所・石油化学コンプレックスでは、クウェート産の原油(重質油)が精製され、ディーゼル、ジェット燃料等の石油製品およびポリプロピレン、パラキシレン、ベンゼンなど高付加価値の石油化学製品が生産される。ニソンは、ハノイの南約200km、ベトナム北中部・タインホア省に位置する。タインホア省はベトナム戦争で甚大な被害を受けた経済的に貧しい地域の一つであり、他の地域との経済格差解消が課題となっていた。本製油所・石油化学コンプレックスの建設は、ベトナムの地域社会の活性化と石油製品の安定供給に寄与している。 ![]() |