2023年6月報告

3. ユーロ圏景況感指数

S&Pグローバルがまとめた5月のユーロ圏のHCOB総合購買担当者景気指数(PMI)改定値は52.8と、前月の54.1から低下し、3カ月ぶりの低水準となったものの、好不況の分かれ目となる50を上回った。製造業の不振をサービス業が補った。速報値の53.3からは下方修正された。物価圧力の緩和も示された。ハンブルク商業銀行のチーフエコノミストは「サービス業の伸びが比較的底堅く、ユーロ圏は再び足場を固め、第2・四半期はプラス成長となるだろう。昨年10月─今年3月の域内総生産(GDP)は停滞した」と述べた。サービス業PMIは55.1。前月は1年ぶり高水準の56.2だった。速報値は55.9。製造業PMI改定値は44.8と、4月の45.8から低下した。総合の投入価格指数と産出価格指数は低下。産出価格指数は56.8から56.4に低下し、2021年4月以来の低水準となった。

サービス部門の需要は引き続き拡大しており、企業は人員を増やしている。雇用指数は54.6。前月は11カ月ぶり高水準の55.6だった。同氏は「サービス部門は好調な労働市場、賃金上昇、欧州全域で好調な観光産業が支えになっている」と指摘。「観光関連の需要を含む5月の新規輸出受注PMIはピーク付近を維持した」と述べた。

米国の金融情報サービス大手S&P グローバル(S&P Global Inc.)
米ニューヨーク市に本拠を置く金融サービス企業。S&P グローバル・レーティングやS&P ダウ・ジョーンズ・インデックスなど、四事業体の親会社にあたる。旧社名はマグロウヒル・ファイナンシャル。S&P グローバルは金融サービス企業であるが、旧社名のマグロウヒルは出版社であり、金融サービス業との関係は、スタンダード&プアーズの買収以降となる。スタンダード&プアーズは、1906年にルーサー・リー・ブレイクが設立したスタンダード統計(Standard Statistics Bureau)と、1860年にヘンリー・ヴァーナム・プアーが創業したプアー出版(H.V. and H.W. Poor Co.)が、1941年に合併して発足した。1966年、マグロウヒルはスタンダード&プアーズを買収し、以降、出版社が金融サービス業を子会社の事業として抱える形態が続いた。1995年に社名をThe McGraw-Hill Companiesに変更。2009年12月にブルームバーグにビジネスウィーク誌を売却した。2013年5月1日に、マグロウヒルはマグロウヒル・ファイナンシャルに社名変更、2016年4月、子会社のJDパワーを売却、またS&P グローバルに社名変更した 。