2023年4月報告

2. 米非製造業景況感指数:非製造業回答者の声

Services PMI® at 51.2%

March 2023 Services ISM® Report On Business®

 Index指数1月2月3
1.Business Activity Index事業活動指数60.456.355.4
2.New Orders  Index新規注文指数60.462.652.2
3.Employment Index雇用指数50.054.051.3
4.Supplier deliveries indexサプライヤー出荷指数50.047.645.8

This report reflects the U.S. Department of Commerce’s recently completed annual adjustments to the seasonal adjustment factors used to calculate the indexes.

(本報告書は米国商務省の直近に発表された年間調整を本指数計算での季節調整済み要因に反映している)

【解説】 米サプライマネジメント協会(ISM)が5日発表した3月の米非製造業(サービス業)景況感指数は前月より3.9ポイント低い51.2だった。市場予想(54.3)を下回り、3カ月ぶりの低水準になった。好不況の分かれ目になる50は越えたが、米連邦準備理事会(FRB)が利上げを続ける中でも底堅かったサービス需要に陰りが出てきた。主な項目では新規受注が52.2と前月比10.4ポイントの大幅な低下を記録した。不動産や金融・保険、小売り、卸売りで受注が減った。3月前半の米銀シリコンバレーバンク(SVB)などの破綻が影響を及ぼした可能性がある。金融・保険業の回答企業からは「経済の不確実性が懸念材料で、金利を引き続き注視している」との報告があった。雇用環境を映す指数は51.3と2.7ポイント低下した。「初任給の引き上げが求められる中、依然として人手不足が続いている」(教育サービス)との声もあった。サービス業が支払うコストにあたる価格指数は59.5と前月から6.1ポイント低下し、2020年7月以来、2年8カ月ぶりの低水準となった。サービス業の景況感指数は、歴史的な寒波の影響で一時的に50を割り込んだ22年12月を除けば、ここ1年ほど50台半ばから後半で底堅く推移してきた。FRBが3月までの1年間で計4.75%の利上げに動く中でも好調は続いたが「いよいよ冷え込む兆しがみえてきた」(米証券)との声が上がる。米銀ウェルズ・ファーゴの調査グループは「金利上昇と銀行セクターの混乱で新規需要が低迷し、3月の活動が鈍化した」と指摘した。SVB破綻を機に「与信環境が大幅に引き締まり、人々が消費のために余剰貯蓄を取り崩すことにも慎重になる」(英調査会社)として、サービス需要に一段の下押し圧力がかかるとの見方もある。今週は市場予想を下回る米経済指標が相次いでいる。2月の米雇用動態調査(JOLTS)も非農業部門の求人件数が2カ月連続で減った。ISMのサービス業景況感とあわせ、米景気が曲がり角に差し掛かっている様子を映す。5日の米債券市場では政策金利の動きに敏感な2年物国債利回りが一時3.6%台まで低下し、約2週間ぶりの低水準になった。米連邦公開市場委員会(FOMC)はあと一回の利上げを基本シナリオに据えるが、市場では利上げ打ち止め観測もじわり高まっている。

サービス業回答者の声WHAT RESPONDENTS ARE SAYING

1Construction 建設工事金利が緩やかに上昇しても、売上は増加し続けている。多くのサプライヤーは、サプライチェーンが正常に戻ったと感じ、在庫が増加し、納期が改善している。当社は、これが6か月から12か月の時間枠で有害な影響を与えることを恐れている。
2Educational Services 教育サービス初任給の引き上げが求められる中、依然人手不足が続いている。
5Health Care & Social Assistance        健康管理・社会支援患者数と収益は引き続き堅調だが、労働力とインフレ圧力により営業費用が増加し、収益を上回り、結果として営業利益率がマイナスになっている。在庫水準は望ましいほど健全ではないものの、サプライチェーンの問題は緩和され、在庫切れは減少している。リードタイム、労働力、価格安定性、製品信頼性の継続的な改善に満足している。短期予測は楽観的だ。
4Professional, Scientific & Technical Services 専門的、科学技術的サービス将来の投資に関し、市場には引き続き不確実性がある。金利の引き上げは、個人消費の減速に殆ど影響を与えていないようだ。 2023 年後半や2024 年内に緩やかに減速する可能性は依然かなり高いと見る。一時帰休は続くだろう。
5Finance & Insurance 金融・保険第 1 四半期の景気は安定し、既に2024年に向けて予測し始めた。経済の不確実性が懸念材料で、金利を引き続き注視している。
6Information       情報経済の減速が支出額の減少に繋がっている。
7Accommodation & Food Services      宿泊・飲食食堂の売上げは、新型コロナウイルス疫病流行前の傾向に比べ好調を維持している。物流は回復し、ほぼ横這い状態だ。当社は、今後数か月について楽観的であり、建物の改造と設備、新しい事務処理室と POS (販売時点管理) システムに投資した。
8Management of Companies & Support Services         企業経営・支援サービス当社は引き続き、将来に対し慎重に取り組んでいる。インフレと石油・ガス規制に関して不確実性が続いている。
9Utilities          ユーティリティ・社会生活基盤軽油価格は 16% 下落し、無鉛燃料は 1 か月前から 9% 下落した。複合材料以外の多くの材料は、容易に入手できる。この例年以上の梅雨の間、売上高は僅かに減少しただけで、通常の冬の売上高と変わることがない。
10Public Administration 行政・公的事務物流と輸送サービスの安定性向上により、商品と材料の流れが安定した。
11Transportation & Warehousing      運輸・倉庫供給は安定し始め、価格は下がるも、少しの幅だ。食料品価格は依然高く、入手可能性が引き続き課題だ。