4. 中国の製造業景況感
財新/S&Pグローバルが6日発表した3月の中国サービス部門購買担当者景気指数(PMI)は57.8と、前月の55.0から上昇し、2020年11月以来の高水準を付けた。
厳格な新型コロナウイルス規制解除に伴う消費主導の回復で新規受注が堅調となり、雇用も拡大した。景況改善・悪化の分かれ目となる50を上回ったのは3カ月連続。新規受注指数は20年11月以来の高水準。特に新規輸出受注は過去最速ペースで伸びた。雇用指数は2年4カ月ぶりの高水準だった。半面、企業信頼感を示す指数は3カ月ぶりの低水準となった。労働・原材料コスト高が投入価格を押し上げた。製造業とサービス業を合わせた3月の財新/S&P総合PMIは54.5と前月の54.2から上昇し、昨年6月以来の高水準を付けた。
一部エコノミストは、地政学的緊張や中国国外の金融不安が高まる中、好調な景気回復の持続性を疑問視する。キャピタル・エコノミクスの中国経済担当責任者はノートで、最近の指標は3月の消費回復が依然としてまだら模様であることを示唆しており、幾分失速した可能性があるとして、低調な自動車販売に言及した。中国南東部の福建省アモイで民泊ビジネスを手掛ける男性は「予約はコロナ流行前水準の7─8割で、思っていたほど良くはなっていない。景気も家計消費も完全に回復していない」と語った。
※PMI(中国製造業購買担当者景気指数)は全国の製造業約820社の購買担当者を対象にしたアンケート調査。生産や受注について50を上回ると拡大,下回ると減少を示す。非製造業には建設,郵便,ソフトウェア,航空,鉄道,小売り,ケータリングが含まれる。
※※2009年設立の財新は中国の独立系経済メディアとして週刊誌やオンライン媒体を展開している。“独立、客観、公正”の原則を掲げた調査報道を行い、報道統制が厳しい中国で、世界を震撼させるスクープを連発。中国はインターネット上のメディアプラットフォームで記事の再配信が認められる報道機関の公式リストから財新伝媒を除外した。報道規制の強い中国で、リベラルな情報源として知られた財新の影響力を弱める動きだ。金融ニュースを提供する財新は、汚職や公害、政府に対する国民の怒りなどを伝えてきた。リスト除外は、微博を運営する新浪などのインターネットプラットフォームに財新の記事を掲載できなくなることを意味する。