2023年3月報告

月例報告・景気動向指数（PMI） 景気動向指数サマリー

1. 米製造業景況感指数：製造業回答者の声

Manufacturing PMI® at 47.7%

February 2023 Manufacturing ISM® Report On Business®

・New Orders and Production Contracting

新規注文と生産は縮小傾向

・Backlogs Contracting

受注残は縮小基調

・Supplier Deliveries Faster

サプライヤー出荷は加速基調

・Raw Materials Inventories Growing; Customers’ Inventories Too Low

原材料在庫は増加；顧客在庫過少

・Prices Increasing; Exports and Imports Contracting

価格は上昇基調；輸出・輸入は縮小

【解説】　米サプライマネジメント協会（ISM）が1日発表した2月の米製造業景況感指数は前月から0.3ポイント高い47.7だった。半年ぶりに前月比でプラスに転じたが、好不況の節目である50を4カ月連続で下回った。生産や雇用環境を示す指数が低迷しており、米国の製造業は依然として弱含みの状態だ。項目別では前月からの改善と悪化がまだら模様でみられた。1月に大きく低迷した新規受注は、4.5ポイント改善し47.0となった。仕入れ価格の水準を示す指数は6.8ポイント上昇し、51.3になった。米証券ジェフリーズは「モノの価格低下が一服したことを示唆している」と指摘した。受注残を示す指数は1.7ポイント上昇して45.1となったが、50は下回った。生産は0.7ポイント低下し、47.3となった。英キャピタル・エコノミクスは「中国の製造業活動が改善しても、米国にプラスの影響をもたらす兆候がみられない」と指摘する。雇用環境を映す指数は49.1と1.5ポイント低下した。調査対象の企業の声は産業分野や項目によって分かれる。電気機器の企業は「新規受注は堅調で、生産は安定的に推移しているが、多くの品目で供給不足が続いている」とコメントした。非金属鉱物製品の企業は「景気後退の懸念は残るが、大きく落ち込むことはないだろう」とみる。

米ISM製造業景況感指数
製造業約３５０社の購買担当者に対し受注や生産状況をアンケート調査により聞き取りし、月初めの第１営業日（その２日後に非製造業を公表）に公表している統計。日本の企業短期経済観測調査（日銀短観）に似た統計といえます。米主要統計の中でも最も早く月初めに発表されるため、市場関係者の注目度が高く、景気の先行指標とされています。一般に好不況の判断の境目とされる５０％を割れると景気後退で、５０％を超えると景気拡大と判断されます。GDPとの関連性を持たせるために2008年1月分の統計より算出方法が変更され、現在は「新規受注・生産・雇用・入荷遅延・在庫」の5項目（比率はそれぞれ20%）につき、「増加、同じ、減少」の回答結果をもとに算出する。民間調査機関１３社の予測値（中心値）が前もって出回るので、リリース時にはそのギャップも重要になります。

製造業回答者の声WHAT RESPONDENTS ARE SAYING …

1Chemical Products
化学製品		新規住宅着工の減速と景気後退の懸念から顧客は在庫を減らすため化学品の購入を遅らせている。
2Transportation Equipment
輸送機械		販売は堅調に推移し、多くの組立工場はフル稼働している。当社は一部の半導体の中国への販売を制限しているため、世界のサプライチェーンに懸念が生じている。
3Food, Beverage & Tobacco Prod
食品・飲料・煙草		米国内の 2023 年の上期の景気は、下期より遅れると予想される。ヨーロッパでは、2023 年を通して注文の減少が予想される。
4Machinery
一般機械		当社の見積書の数は減っているとしても、まだ忙しくしており、それは当社の受注残が大きく関係している。 30 週間以上の受注残は望ましくない。
5Computer & Electronic Products
コンピューター・電子製品		注文予約の入る良好な今年の初め。電子部品、特に中央処理装置は、納期が延長されたとしても、約束の納期日に間に合わないリスクがあるため困難な状態が続いている。
6Miscellaneous Manufacturing
その他の製造		当社は、幾つかの長期受注残を出荷したことにより、現行の受注残を少し進めることができた。
7Nonmetallic Mineral Products
非金属鉱物製品		景気後退の懸念が長引いているが、当社は、今年の製造業の大幅な落ち込みは予想していない。最悪の場合でも横這いだろう。
8Fabricated Metal Products
金属加工製品		新規注文は依然堅調だ。しかしながら今年の予算では当社が考慮しなかった価格上昇をまともに受けている (1 年前より緩やかであるものの)。コスト増によって失われた利益を回復することが最優先課題だ。
9Primary Metals　　　
一次金属		景気の状況は依然堅調だが、在庫は計画を上回っている。在庫状況が解決されるまで、操業に影響を与えるだろう。
10Electrical Equipment, Appliances & Components　　　　　
電気機器・器具・部品		新規注文は安定し、生産は数か月間一貫して実行されてきた。多くの電子機器品目が不足し、供給を確保するため毎日監視する必要がある。
11Plastics & Rubber Products
プラスチック・ゴム製品		景気と新規注文は軟化し、顧客は現行の注文を延期している。