3. ユーロ圏景況感指数
S&Pグローバルが1月24日発表したユーロ圏の1月の総合購買担当者景気指数(PMI)速報値は50.2と前月の49.3から上昇し、好不況の分かれ目となる50を昨年6月以来初めて上回った。ロイターがまとめた市場予想の中央値は49.8だった。
S&Pグローバル・マーケット・インテリジェンスのチーフエコノミストは「(ユーロ圏の)リセッション(景気後退)が懸念されていたほど深刻ではなく、回避できる可能性もあることが示された」と歓迎した。コメルツ銀行も「ユーロ圏経済が景気後退を避けられるとの期待が高まるだろう」と指摘。しかし経済環境の明らかな悪化は、少なくとも穏やかな景気後退になることを依然として示唆していると述べた。雇用指数は12月の51.9から52.5へ上昇し、3カ月ぶりの高水準となった。企業が採用を一段と積極化していることを示している。サービス業PMIは50.7と市場予想(50.2)を上回り、6カ月ぶりの高水準となった。前月は49.8だった。生活費の上昇にもかかわらず需要の低下は限定的で、新規事業指数は48.4から49.8に上昇し50に迫った。しかしS&Pグローバルは「ユーロ圏はまだ困難を脱したわけではない。需要は引き続き減少しており、減少ペースが緩やかになっただけだ」と指摘した。製造業PMIも改善した。前月の47.8から48.8へ上昇し、市場予想の48.5を上回った。総合PMIに反映される生産指数は49.0と7カ月ぶりの高水準を記録した。前月は47.8だった。サービス業と同様に投入価格指数も低下したが、産出価格指数は61.2から61.4へ小幅上昇した。ただ過去3年間の平均を大きく下回っている。キャピタル・エコノミクスは「PMIは物価圧力がなお強いことを示している」と述べ、欧州中央銀行(ECB)が近く金融引き締めの手を緩めることはないとの見方を示した。
※米国の金融情報サービス大手S&P グローバル(S&P Global Inc.)は、米ニューヨーク市に本拠を置く金融サービス企業。S&P グローバル・レーティングやS&P ダウ・ジョーンズ・インデックスなど、四事業体の親会社にあたる。旧社名はマグロウヒル・ファイナンシャル。S&P グローバルは金融サービス企業であるが、旧社名のマグロウヒルは出版社であり、金融サービス業との関係は、スタンダード&プアーズの買収以降となる。スタンダード&プアーズは、1906年にルーサー・リー・ブレイクが設立したスタンダード統計(Standard Statistics Bureau)と、1860年にヘンリー・ヴァーナム・プアーが創業したプアー出版(H.V. and H.W. Poor Co.)が、1941年に合併して発足した。1966年、マグロウヒルはスタンダード&プアーズを買収し、以降、出版社が金融サービス業を子会社の事業として抱える形態が続いた。1995年に社名をThe McGraw-Hill Companiesに変更。2009年12月にブルームバーグにビジネスウィーク誌を売却した。2013年5月1日に、マグロウヒルはマグロウヒル・ファイナンシャルに社名変更、2016年4月、子会社のJDパワーを売却、またS&P グローバルに社名変更した 。