2023年2月報告

1. 米製造業景況感指数:製造業回答者の声

Manufacturing PMI® at 47.4%

January 2023 Manufacturing ISM® Report On Business®

・New Orders and Production Contracting

新規注文と生産は縮小傾向

・Backlogs Contracting

受注残は縮小基調

・Supplier Deliveries Faster

サプライヤー出荷は加速基調

・Raw Materials Inventories Growing; Customers’ Inventories Too Low

原材料在庫は増加;顧客在庫過少

・Prices Decreasing; Exports and Imports Contracting

価格は下落基調;輸出・輸入は縮小

【解説】 米サプライマネジメント協会(ISM)が1日発表した1月の米製造業景況感指数は前月から1ポイント低い47.4だった。2020年5月以来、2年8カ月ぶりの低水準で、好不況の節目である50を3カ月連続で下回った。新規受注や生産が低下しており、米国の景気後退懸念を高める結果となった。前月から低下するのは5カ月連続。英キャピタル・エコノミクスは「米製造業が欧州や中国の製造業の見通し改善の恩恵をほぼ受けておらず、米経済がまもなく景気後退に陥るという見解を補強するものだ」と述べた。項目別では新規受注が42.5と前月から2.6ポイント低下し、5カ月連続で50を割り込んだ。生産も48.0と前月から0.6ポイント下げた。PMI調査を統括するティモシー・フィオレ委員長は「売り手と買い手の間で価格やリードタイムの折り合いがつかず、受注を押し下げている」と指摘した。調査対象の企業からは「買い手は値下げを積極的に求めてくるが、原料コストに見合わない」(その他製造業)との声が上がった。新規輸出受注は3.2ポイント上昇の49.4、受注残は2.0ポイント上昇の43.4となったが、ともに50を下回った。仕入れ価格の水準を示す指数は前月より5.1ポイント上昇し、44.5となった。数値が高いほど遅れを示すサプライヤーの納期に関する指数は45.6となった。前月よりは0.5ポイント上昇したものの、09年3月以来の低水準を維持している。供給網の混乱は大幅に解消したが、ウェルズ・ファーゴ銀行のエコノミストは「製品によって度合いが異なり、バランスがとれていない」と指摘する。需要減を受けて、企業の購買担当者からはインフレ鈍化を示す声が上がった。「多くの製品で物価上昇圧力が弱まっている」(化学製品)。ウェルズ・ファーゴ銀行は「物価高と戦うという意味では同指数は明るい材料だった」とみる。雇用環境を映す指数は50.6と前月比で0.2ポイント低下した。IT(情報技術)業界や金融業界では人員削減が相次ぐが、「製造業では人員を大きくは削減していない」(フィオレISM委員長)という。

米ISM製造業景況感指数
製造業約350社の購買担当者に対し受注や生産状況をアンケート調査により聞き取りし、月初めの第1営業日(その2日後に非製造業を公表)に公表している統計。日本の企業短期経済観測調査(日銀短観)に似た統計といえます。米主要統計の中でも最も早く月初めに発表されるため、市場関係者の注目度が高く、景気の先行指標とされています。一般に好不況の判断の境目とされる50%を割れると景気後退で、50%を超えると景気拡大と判断されます。GDPとの関連性を持たせるために2008年1月分の統計より算出方法が変更され、現在は「新規受注・生産・雇用・入荷遅延・在庫」の5項目(比率はそれぞれ20%)につき、「増加、同じ、減少」の回答結果をもとに算出する。民間調査機関13社の予測値(中心値)が前もって出回るので、リリース時にはそのギャップも重要になります。

製造業回答者の声WHAT RESPONDENTS ARE SAYING …

1Chemical Products 化学製品条件は合理的で、売上は予定よりやや上向いている。多くの製品で物価上昇圧力が弱まっている。今年は、今ところ供給の混乱はかなり少なく、短期的にはほぼ予想されていない。予測としては、2023 年の残りの期間、少しぼやけた状態だ。
2Transportation Equipment 輸送機械サプライ チェーンの問題が、当社の生産スケジュールを悩ませ続けている。海外のサプライヤーからの輸送も納期遅れの一因となっており、重要な電子機器、ガスケット、防水剤、特殊鋼のリード タイムは二倍になっている。
3Food, Beverage & Tobacco Prod 食品・飲料・煙草年初の売り上げは(予想どおり)落ち込んだ。当社営業部の予想では、期待値よりも更に低い売上を示す。これが当てはまる場合、在庫レベルは来月半で僅に上昇するだろう。
4Machinery 一般機械強力な大規模需要により、機械部品の需要が高まり続けている。大規模な建設工事/オフハイウェイOHVの OEM会社も強い需要があり、供給基盤で継続的な生産能力の制約を生み出している。
5Computer & Electronic Products         コンピューター・電子製品景気は依然好調だが、当社は、一部の価格設定に軟化を見始めており、納期は改善しつつあるようだ。
6Miscellaneous Manufacturing その他の製造顧客は、当社サプライヤーから実際に受け取っている値下げを遥かに越え、値下げに活発になっている。
7Nonmetallic Mineral Products 非金属鉱物製品工業建設は堅調だが、商業建設は遅れている。
8Fabricated Metal Products 金属加工製品これまでのところ、2023 年上半期の見通しは非常に軟調に見える。当社製品の需要は急激に減少している。顧客在庫だけでなく、当社の在庫も積み上がっている。誰もが景気後退に備えて気を引き締めているようだ。
9Primary Metals   一次金属過去2週間で、新規注文の減少が見られる。
10Electrical Equipment, Appliances & Components     電気機器・器具・部品一部の事業分野が世界的に需要の軟化を見せ、多くの材料は、納期改善とコスト削減を示している。