2023年1月報告

5. 内閣府景気ウォッチャー調査

12月の現状判断DI(季節調整値)は、前月差0.2ポイント低下の47.9となった。家計動向関連DIは、サービス関連等が低下したものの、小売関連が上昇したことから上昇した。企業動向関連DIは、製造業等が低下したことから低下した。雇用関連DIについては、低下した。12月の先行き判断DI(季節調整値)は、前月差1.9ポイント上昇の47.0となった。雇用関連DIが低下したものの、家計動向関連DI、企業動向関連DIが上昇した。なお、原数値でみると、現状判断DIは前月差0.7ポイント低下の49.0となり、先行き判断DIは前月差0.1ポイント低下の46.3となった。今回の調査結果に示された景気ウォッチャーの見方は、「景気は、持ち直しの動きがみられる。先行きについては、持ち直しへの期待がある一方、価格上昇の影響等に対する懸念がみられる。」とまとめられる。

※地域の景気に関連の深い動きを観察できる立場にある人々の協力を得て,地域ごとの景気動向を的確かつ迅速に把握し,景気動向判断の基礎資料とすることを目的とする。調査は毎月,当月時点であり,調査期間は毎月25日から月末である。本調査業務は,内閣府が主管し,下記の「取りまとめ調査機関」に委託して実施している。各調査対象地域については,地域ごとの調査を実施する「地域別調査機関」が担当しており,「取りまとめ調査機関」において地域ごとの調査結果を集計・分析している。

2.サプライチェーン関連記事抜粋:令和4年12月1日~12月31日

 主題概要
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≪用語解説:記事内の用語と企業、統計図表を確認しましょう≫

デジタル投資、6割が増強:7割は「指導者が不足」
経済成長を担う人材の育成に向け、デジタル分野の教育・研究基盤へ投資する大学が増えている。日本経済新聞が実施した学長アンケートでは有力大学の6割がデジタル分野の設備投資を増強したと答えた。教員の確保が課題で、民間人材の起用も含め指導体制を充実させる工夫が問われる。
脱中国、物流・人材に懸念
サプライチェーン(供給網)の「脱中国」には課題も多い。主要製造業への調査で代替調達の課題を聞いたところ、「物流費の上昇」を54%(複数回答)の企業が挙げて最多となった。「物流網の不整備」も25%あった。取引先への納期を守りつつ低コストで部品などを配送できるか企業が懸念している。
中国調達「下げる」5割、代替先9割日本
米中対立の激化などを受けて企業が部品などの調達で中国に頼らないサプライチェーン(供給網)の構築を急ぎ始めた。日本経済新聞の主要製造業100社への調査で、5割の企業が中国比率を下げると回答した。代替先として9割が日本を挙げた。台湾有事や「ゼロコロナ」政策で中国リスクが高まっている。供給網の機能不全を回避するため、企業が備えを本格化しつつある。

中国調達「下げる」5割、代替先9割日本 製造業100社に聞く: 日本経済新聞
電力網に老朽火力リスク
火力発電所で故障など計画外の設備の停止が頻発している。日本経済新聞の調べでは1~10月の設備不良や地震による停止は182件となり、過去最多に迫るペースだ。国内の火力発電所の約3割は稼働から40年以上がたち、設備が古くなっている。政府は今冬の電力不足を老朽化で休止中の火力発電所の再稼働で乗り切る方針だが、停止が相次ぐことになれば電力供給不安の懸念が高まる。

電力網に老朽火力リスク: 日本経済新聞
Nuvve Corporation (ヌービーコーポレーション)
所在地:米カリフォルニア州サンディエゴ 設立年:2010年 代表者:Gregory Poilasne (グレゴリー・ポイラスン) 事業概要:デラウエア大学が開発した充放電制御技術を使ったV2Gサービスプロバイダー ヌービー社は、充電ステーションに接続されている駐車中のEVの車載蓄電池から、電力系統の電力需給バランスに応じて電気を充放電するV2G(Vehicle to Grid)システムのベンチャー企業で、同社システムは複数台の駐車中EVの充放電を同時に制御してバーチャルパワープラント (VPP)を構築することができる。同社のV2Gの仕組みは、気象条件の変化に伴う再生可能エネルギーの出力変動を補うだけでなく、EVを使用していない間に車載蓄電池を活用して対価を生み出すことで、EVの購入・維持費の負担軽減にも繋げることができ、米国においてはV2Gの基本技術に関する特許を取得、デンマークでは既に世界初のV2G商業運転に成功している。VPP技術は、発電所を新設することなく電力需給バランス調整を行うことができるため、複数の国でその活用が検討されており、日本においても経済産業省によるVPP技術の実証実験や事業化支援が行われている。米国カリフォルニア州や欧州をはじめ、世界各国でEV普及に向けた動きが加速している中、そのEVを活用したヌービー社のV2Gシステムは世界各国のVPP進展にも寄与する。