2022年12月報告

3.おわりに:

師走に入った機会を捉えてアルコールの話をしたい。我が国では、酒の席だから許される習慣が現在もまかり通っているようだ。「ENEOS前会長・性加害、社内で箝口令か…本当の退任理由を隠蔽、信義問われる」というマスコミ報道を耳にした。少し前にも俳優が同じことをした記事があった。今回は両者とも犯罪に近く社会的に大きな制裁を受けているようだ。一方で、こういう輩は異口同音に、酒を飲んでいたから覚えてない、などと勝手なことを言う。これこそ欧米を中心とするグローバル標準からは認められない悪習であろう。男性サラリーマン中心の企業社会では、パワハラ、セクハラが罷り通っていた時代が長くあった。そこでは、日本でしか通用しない不思議で奇妙な習慣がある。特に酒に関する逸話は多い。ある欧米人からの指摘だが、駅のベンチで寝ている人が大企業の社長だったという話。筆者の良く知るニューヨークやパリ地下鉄の駅構内のベンチで寝ていたら身ぐるみはがされるのは当たり前だが、日本標準ではそうならないのは日本の安全な証か。何処の世界にも「酔っぱらっていたから不祥事も許される」ことはないだろう。更に言うと「某部の某氏は酒が強いね!」と言って褒められ、顧客接待に利用され、上司に気に入られて出世する、漫画みたいな話だが伝統的な日本企業ではあり得るかも知れない。

話は変わるが、米国史における禁酒法は、1920年から1933年まで憲法修正第18条下において施行され、消費のためのアルコールの製造、販売、輸送が全面的に禁止された法律だ。いわゆるボルステッド法又は国家禁酒法は、ウィルソン大統領が拒否権を発動するも、1919年10月28日に議会が再可決し、「酔いをもたらす飲料」を法的に定義して、憲法修正第18条で規制の対象とするアルコール飲料を定めたものだ。しかし、ボルステッド法はアルコールの販売を禁止したが、法律を強制することは殆ど行われなかったと言う。

この年末も同じような事件が起こらないことを祈るばかりだ。

以下余白

月報編集室:主筆 上原 修 CPSM, C.P.M. JGA 特定非営利活動法人 日本サプライマネジメント協会