2022年12月報告

1. 米製造業景況感指数:製造業回答者の声

Manufacturing PMI® at 49%

November 2022 Manufacturing ISM® Report On Business®

  • New Orders Contracting

新規注文は縮小傾向

  • Production Growing; Backlogs Contracting

生産増加;受注残は縮小基調

  • Supplier Deliveries Faster

サプライヤー出荷は加速基調

  • Raw Materials Inventories Growing; Customers’ Inventories Too Low

原材料在庫は増加;顧客在庫過少

  • Prices Decreasing; Exports and Imports Contracting

価格は下落基調;輸出・輸入は縮小

【解説】米サプライマネジメント協会(ISM)が1日発表した11月の米製造業景況感指数は前月から1.2ポイント低い49.0となり、好不況の節目である50を下回った。「不況」を示す50割れは、新型コロナウイルスの感染が米国で拡大していた2020年5月以来、2年半ぶり。受注が低迷するなど需要面の弱さが目立つ。需要関連の項目では、新規受注が47.2と前月比2.0ポイント低下した。新規輸出受注は、急速に進んだドル高が一服したこともあって1.9ポイント上昇の48.4となったが、なお節目の50を下回る水準にある。受注残は40.0と5.3ポイント低下した。調査対象の企業から「先行き不透明な経済状況のせいで年末に近づくにつれ主要顧客の多くが設備投資支出を減らしている」(機械メーカー)といった回答があった。雇用指数は48.4で1.6ポイント低下した。コロナ禍で顕著だった人手不足感は薄れ、収益環境の悪化に伴ってむしろ企業は人員抑制にかじを切り始めている。企業回答によると新規採用や退職者補充の停止による自然減に加え、解雇の動きも出ているという。仕入れ価格の水準を示す指数も43.0と3.6ポイント低下。インフレ圧力の緩和を示唆した。英キャピタル・エコノミクスの北米担当チーフエコノミストは「中国経済など外需の弱さを踏まえると、米製造業景況感指数が今後数カ月で更に悪化してもおかしくない」と指摘し、そうなれば米景気後退入りを示唆すると説明した。製造業景況感指数はファクトセット集計の市場予想(49.8)を下回ったが、株式市場の反応は限られた。11月30日に米連邦準備理事会(FRB)議長は利上げ幅縮小時期が「早ければ12月になる」と発言。12月13~14日の米連邦公開市場委員会(FOMC)で利上げ幅が0.5%に圧縮するシナリオを市場は織り込んでいたため、材料視されにくかった面がある。

米ISM製造業景況感指数
製造業約350社の購買担当者に対し受注や生産状況をアンケート調査により聞き取りし、月初めの第1営業日(その2日後に非製造業を公表)に公表している統計。日本の企業短期経済観測調査(日銀短観)に似た統計といえます。米主要統計の中でも最も早く月初めに発表されるため、市場関係者の注目度が高く、景気の先行指標とされています。一般に好不況の判断の境目とされる50%を割れると景気後退で、50%を超えると景気拡大と判断されます。GDPとの関連性を持たせるために2008年1月分の統計より算出方法が変更され、現在は「新規受注・生産・雇用・入荷遅延・在庫」の5項目(比率はそれぞれ20%)につき、「増加、同じ、減少」の回答結果をもとに算出する。民間調査機関13社の予測値(中心値)が前もって出回るので、リリース時にはそのギャップも重要になります。

製造業回答者の声WHAT RESPONDENTS ARE SAYING …

1Chemical Products 化学製品今後 60 日間の先の取引量は減少傾向にある。
2Transportation Equipment 輸送機械輸送用機器の受注は引き続き好調だ。サプライチェーンの問題は続いており、生産量への直接的影響は最小限に抑えられている。
3Food, Beverage & Tobacco Prod 食品・飲料・煙草米国経済は、まあまあに見えるが、消費財は当社市場の幾つかで減速している。欧州経済について同じことを言うことができない。
4Machinery 一般機械一般経済の不確実性により、年末に近づくにつれ注文が減速し、主要顧客の多くは、設備投資支出を削減しつつある。
5Computer & Electronic Products         コンピューター・電子製品顧客の需要は弱まっているが、サプライヤーは高価格と記録的な利益を維持している。市場の証拠に基づくコスト削減の推進は、驚くほど成功している。
6Miscellaneous Manufacturing その他の製造市場は一貫性を保っている:売上は予想と一致している;金利上昇による顧客への影響が懸念される;殆どのサプライヤーは、労働力から回復したが、一部のサプライヤーは依然苦戦している;またインフレはピークに達したように見えるが、相場商品価格の下落は、当社に伝わっていない。ロシアとウクライナの戦争による欧州連合への影響と、2023 年の顧客行動に関する疑問については、不明な点が多くある。
7Nonmetallic Mineral Products 非金属鉱物製品2023年に向けて注意が必要だが、建設の商業部門は、依然好調のように見える。
8Plastics & Rubber Products  プラスチック・ゴム製品12月と2023年の第1四半期を見ると、不確実な経済状況が待ち受けているため、ビジネスは軟化している。
9Primary Metals   一次金属前月からの全体的な事業状況の僅かな改善があった。
10Electrical Equipment, Appliances & Components     電気機器・器具・部品全体的に、状況は悪化している。住宅着工件数は減少している。競合他社に対して、何とかうまくやっているが、業界全体は落ち込んでいる。当社は、在庫に縛られた現金を抱えている状態だ。