2022年11月報告

4. 中国の製造業景況感

財新/マークイットが1日発表した10月の中国製造業購買担当者景気指数(PMI)は49.2と前月の48.1から上昇したが、景況改善・悪化の分岐点となる50を下回った。市場予想の49.0はかろうじて上回った。新型コロナウイルス対策の規制が長引き、生産の混乱と需要の低迷を招いている。中国国家統計局が前日発表した10月の製造業PMIも予想を下回り、50を割り込んでいた。財新のPMIでは生産指数と新規受注指数が前月に続き50を下回った。新型コロナ感染者が再び増加し、厳しい規制が重しとなった。規制の影響で輸送に遅れが生じ、サプライヤーの納期が長くなったという。経済活動の鈍化が労働市場を圧迫しており、雇用は7カ月連続で減少した。財新智庫のエコノミストは「現在の国内外環境はなお複雑で厳しく、経済発展に影響を与える好ましくない要因が増えている」と指摘。「特に多くの地域でコロナ感染が拡大したことが需要と供給の両方を大きく抑制している」と述べた。

※PMI(中国製造業購買担当者景気指数)は全国の製造業約820社の購買担当者を対象にしたアンケート調査。生産や受注について50を上回ると拡大,下回ると減少を示す。非製造業には建設,郵便,ソフトウェア,航空,鉄道,小売り,ケータリングが含まれる。

※※2009年設立の財新は中国の独立系経済メディアとして週刊誌やオンライン媒体を展開している。“独立、客観、公正”の原則を掲げた調査報道を行い、報道統制が厳しい中国で、世界を震撼させるスクープを連発。中国はインターネット上のメディアプラットフォームで記事の再配信が認められる報道機関の公式リストから財新伝媒を除外した。報道規制の強い中国で、リベラルな情報源として知られた財新の影響力を弱める動きだ。金融ニュースを提供する財新は、汚職や公害、政府に対する国民の怒りなどを伝えてきた。リスト除外は、微博を運営する新浪などのインターネットプラットフォームに財新の記事を掲載できなくなることを意味する。