2022年10月報告

5. 内閣府景気ウォッチャー調査

9月の現状判断DI(季節調整値)は、前月差2.9ポイント上昇の48.4となった。家計動向関連DIは、飲食関連等が上昇したことから上昇した。企業動向関連DIは、製造業等が低下したことから低下した。雇用関連DIについては、低下した。9月の先行き判断DI(季節調整値)は、前月差0.2ポイント低下の49.2となった。家計動向関連DIが上昇したものの、企業動向関連DI、雇用関連DIが低下した。なお、原数値でみると、現状判断DIは前月差4.8ポイント上昇の49.6となり、先行き判断DIは前月差1.7ポイント上昇の49.3となった。今回の調査結果に示された景気ウォッチャーの見方は、「景気は、持ち直しの動きがみられる。先行きについては、価格上昇の影響等を懸念しつつも、持ち直しへの期待がみられる。」とまとめられる。

※地域の景気に関連の深い動きを観察できる立場にある人々の協力を得て,地域ごとの景気動向を的確かつ迅速に把握し,景気動向判断の基礎資料とすることを目的とする。調査は毎月,当月時点であり,調査期間は毎月25日から月末である。本調査業務は,内閣府が主管し,下記の「取りまとめ調査機関」に委託して実施している。各調査対象地域については,地域ごとの調査を実施する「地域別調査機関」が担当しており,「取りまとめ調査機関」において地域ごとの調査結果を集計・分析している。

2.サプライチェーン関連記事抜粋:令和4年9月1日~9月30日

 主題概要
1中国部品使わずエアコンダイキン 供給途絶に備え 来年度、内製・生産分散で
2世界分断 生産網再編へトヨタ、ロシア事業から撤退 マツダも製造終了協議
3ロシア石油 欧州へ裏流通船舶情報など分析 制裁効果阻む恐れ
4半導体や医療物資融通IPEF14か国が検討 中国を念頭
5培養肉 世界市場200億ドル2030年推計:食肉供給の0.5%に 政府も研究支援に着手

≪用語解説:記事内の用語と企業、統計図表を確認しましょう≫

中国部品使わずエアコン
ダイキン工業は2023年度中に有事に中国製部品が無くてもエアコンを生産できるサプライチェーンを構築する。省エネルギーなど中核機能にかかわる部品を日本国内で内製化するほか、取引先に中国外での生産を要請する。ゼロコロナ政策を受けたロックダウンや米中対立による供給途絶リスク、地政学リスクも抱える中国への依存度を減らす動きが日本の製造業で広がってきた。

IPEF14カ国、半導体や医療物資融通検討
米国主導の新経済圏構想「インド太平洋経済枠組み(IPEF)」に参加する14カ国は有事の際に半導体や医療物資などの在庫を融通する体制づくりを検討する。軍事衝突や感染症拡大で物流が止まっても友好国間でやりくりし供給網の耐性を高める。重要物資を外交・安全保障の「武器」に使う中国に対抗する。その一環で「重要物資の効率的な移動を促す措置」といった表現で在庫融通まで含めた体制をめざす方針を書き込む提案が出ている。声明で合意できれば2023年にも準備を始める。半導体のほか感染症対応に不可欠な医療用防護服、レアアース(希土類)、蓄電池などを念頭に置く。具体的な仕組みや対象はこれからの交渉で詰める。

培養肉 世界市場200億ドル
ロシアによるウクライナ侵攻で国際的な食料不足が問題となるなか、食料危機の解決策として牛などの動物の細胞を増やして作る培養肉の技術に注目が集まっている。2030年には世界の市場規模が200億ドルに達するとの推計もある。政府も研究開発の支援や安全性確保などのルール作りに着手する。培養肉は代替肉の一種で、牛などの細胞を培養装置で増やす。家畜用の土地や水を節約でき、環境負荷を軽減できるとされる。ウクライナ侵攻後の飼料価格の高騰を受け、安全保障の観点からも新たな食料調達の手段として期待される。培養肉の世界市場は30年までに200億ドルまでのぼり、世界の食肉供給の0.5%を占める。食肉以外も含めた50年の食料需要全体は10年の1.7倍(58.17億トン)にまで増える見通しだ。【注】培養肉とは、動物の個体からではなく、可食部の細胞を組織培養することによって得られた肉のことである。現在70社以上のスタートアップが培養肉に参入しており、牛・豚・鶏・子羊・魚・甲殻類・うなぎ・フォアグラ・ホタテなどの培養肉の研究開発が進行中である。試験管肉とも呼ばれる。またこのように、人工的に牛肉や豚肉、魚肉などを生産する技術を「細胞農業」と呼ぶ。動物を屠殺する必要がない、厳密な衛生管理が可能、食用動物を肥育するのと比べて地球環境への負荷が低いなどの利点があり、従来の食肉に替わるもの(代替肉)として注目されている。