4. 中国の製造業景況感
中国メディアの財新と英調査会社IHSマークイットが30日発表した9月の製造業購買担当者景気指数(PMI)は前月より1.4ポイント低い48.1だった。好不調の境目である50を2カ月連続で下回った。新型コロナウイルスの封じ込めを狙う移動制限の強化などで、需要の回復が遅れている。中国国家統計局が同日発表したPMIは3カ月ぶりに50を上回った。電力不足が和らぎ、生産活動を表す指数が上昇したためだ。ただ民間版では新規受注の落ち込みに合わせて生産活動も低調だった。2つの景況感の違いは、調査対象の数や範囲にありそうだ。民間版は約650社が対象で、3200社に及ぶ政府版よりサンプルが少ない。一方、調査対象に民間企業が多く、中小企業の景況感を映しやすいとされる。上海市のロックダウンで景気が悪化した4月以降、50割れが続く。資金調達の環境を示す指数が悪化している。中国政府は地方政府によるインフラ投資の拡大などを景気回復の柱に位置づける。ただ恩恵は国有企業などに集中している。1~8月の製造業などの利益をみると、国有企業は前年同期比5%増えたが、民営企業は同8%減った。
※PMI(中国製造業購買担当者景気指数)は全国の製造業約820社の購買担当者を対象にしたアンケート調査。生産や受注について50を上回ると拡大,下回ると減少を示す。非製造業には建設,郵便,ソフトウェア,航空,鉄道,小売り,ケータリングが含まれる。
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