2022年10月報告

3. ユーロ圏景況感指数

S&Pグローバルが5日発表した9月のユーロ圏総合購買担当者景気指数(PMI)改定値は48.1と、20カ月ぶりの低水準だった。景気後退を回避できない可能性が高まった。ビジネスエコノミストは「事業活動が大幅に縮小しており、ユーロ圏の景気後退を回避できるとの期待が一段と遠のいた。景気低迷が悪化しているだけでなく、インフレの動向も悪化しており、インフレの加速抑制を目指す政策当局はハードランディングのリスク増大に直面する」と述べた。投入価格指数と産出価格指数は急上昇。投入価格指数は72.3から77.1に上昇した。サービス部門PMIは49.8から48.8に低下し、2021年2月以来の低水準。物価上昇と厳しい世界経済見通しを受けて、消費者が慎重姿勢を崩していない。同エコノミストは「エネルギー危機とウクライナ戦争に伴うインフレの進行で需要が崩壊しつつある。同時に企業信頼感は新型コロナウイルス流行を受けたロックダウンの期間を除き、12年のユーロ圏債務危機以来の水準に低下しつつある。企業と家計の双方が厳しい冬に備えて裁量的支出と投資を減らしている」と言う。企業の楽観度は大幅に低下。サービス部門の企業見通し指数は56.6から53.6に低下し、20年5月以来の低水準となった。専門家は「9月のユーロ圏PMI改定値を見ると、ユーロ圏では物価圧力の緩和はまだ始まっていないが、活動は縮小しているようだ。ドイツなど一部の国は既に経済が縮小していると見られる。ユーロ圏全体は第4・四半期に景気後退に突入するだろう。PMIの先行指標は厳しい見通しを示している」と述べた。

※米国の金融情報サービス大手S&P グローバル(S&P Global Inc.)は、米ニューヨーク市に本拠を置く金融サービス企業。S&P グローバル・レーティングやS&P ダウ・ジョーンズ・インデックスなど、四事業体の親会社にあたる。旧社名はマグロウヒル・ファイナンシャル。S&P グローバルは金融サービス企業であるが、旧社名のマグロウヒルは出版社であり、金融サービス業との関係は、スタンダード&プアーズの買収以降となる。スタンダード&プアーズは、1906年にルーサー・リー・ブレイクが設立したスタンダード統計(Standard Statistics Bureau)と、1860年にヘンリー・ヴァーナム・プアーが創業したプアー出版(H.V. and H.W. Poor Co.)が、1941年に合併して発足した。1966年、マグロウヒルはスタンダード&プアーズを買収し、以降、出版社が金融サービス業を子会社の事業として抱える形態が続いた。1995年に社名をThe McGraw-Hill Companiesに変更。2009年12月にブルームバーグにビジネスウィーク誌を売却した。2013年5月1日に、マグロウヒルはマグロウヒル・ファイナンシャルに社名変更、2016年4月、子会社のJDパワーを売却、またS&P グローバルに社名変更した 。