2022年10月報告

2. 米非製造業景況感指数:非製造業回答者の声

Services PMI® at 56.7%

September 2022 Services ISM® Report On Business®

 Index指数7月8月9
1.Business Activity Index事業活動指数59.960.959.1
2.New Orders  Index新規注文指数59.961.860.6
3.Employment Index雇用指数49.150.253.0
4.Supplier deliveries indexサプライヤー出荷指数57.854.553.9

This report reflects the U.S. Department of Commerce’s recently completed annual adjustments to the seasonal adjustment factors used to calculate the indexes.

(本報告書は米国商務省の直近に発表された年間調整を本指数計算での季節調整済み要因に反映している)

【解説】米サプライマネジメント協会(ISM)が5日発表した9月の非製造業(サービス業)景況感指数は56.7と前月から0.2ポイント低下した。前月対比の低下は3カ月ぶり。物価高で個人消費に陰りが出ていることが重荷となった。一方、サービス業での人手不足感は引き続き強かった。景況感指数は50を境目に経済活動の拡大・縮小を評価する。サービス業は2020年6月以降、2年4カ月連続で50を越える水準を維持している。インフレ圧力や米連邦準備理事会(FRB)の金融引き締めを背景に市場では悪化を見込む声が多かったが、発表された指数は事前予想を上回った。項目別でみると、企業の活動状況を示す指数は59.1と前月比1.8ポイント低下した。調査対象の企業からは「物価高に対する消費者の懸念から、レストラン売り上げの落ち込みが大きい」(飲食業)といった回答があった。新規受注は60.6と1.2ポイント下がった。輸送業やエンターテインメント業界で悪化が目立つ。数値が高いほど遅れを示すサプライヤーの納期に関する指数は53.9と0.6ポイント低下した。新型コロナウイルス禍からの経済再開などによるサプライチェーンの混乱が収束に向かっていることを映した。雇用の指数は53.0と2.8ポイント上昇し、サービス業では依然深刻な人手不足が続いている様子を示した。3日発表のISM製造業景況感指数が好不況の節目50に迫る悪化を見せたのに比べ、サービス業の指数の下げ幅は小さかった。ただ、投資専門家は物価高の継続などを背景に「米サービス業の景況感の耐久力は長くは続かないだろう」と見ていた。

サービス業回答者の声WHAT RESPONDENTS ARE SAYING

1Construction 建設工事売り上げは大幅に落ち込んだ。非常に挑戦的な市場である。受注残を構築しようと試みる。製造業者、流通業者、設置業者は依然多忙で価格の上昇を転嫁している一方で、当社は、販売を刺激する目的で住宅を値引きしているので利幅が圧縮されている。
2  Accommodation & Food Services  宿泊・料飲サービス当店レストランの売上は8月から10月にかけて季節的に減少傾向にあり、今年は新型コロナウイルス疫病流行前に比べ厳しい状況にある。一般的なインフレ懸念と消費者の不確実性が原因である可能性が高いと、同業者も表明している。
3Educational Services 教育サービスサプライチェーンの問題とインフレのため、当社は、仕入れを制限し続け、通常よりも早目に注文を開始している。高等教育部門では、大規模な学校の予測は良好だ。
4Retail Trade       小売業半導体チップ不足は衰える兆しが見えない。
5Wholesale Trade    卸売業事業活動は、先月よりも改善されたが、昨年の同時期と比べ依然横這いから僅か減少傾向にある。在庫水準は記録的な高さから低下し始めるも、過剰在庫は依然問題となっている。当社は、需要の減少と在庫の再均衡が、年末までの事業活動に衝撃を与えると予想する。  
6Health Care & Social Assistance        健康管理・社会支援人員配置が不十分なため病院システムが十分な能力を発揮できない、よって労働圧力が事業活動を弱めている。原材料、特に外科用グレードのタイベックTyvek(合成ポリエチレン繊維)、フォーム、プラスチックの不足が続いており、改善されていないように見えるため、受注残は1か月前から変わっていない。物流のリードタイムは短縮されたが、製品不足の中でサプライチェーンへの影響は限定的と見る。
7Professional, Scientific & Technical Services 専門的、科学技術的サービス雇用は、殆どの業界で引き続き課題となっている。それらを満たす候補者よりも遥かに多くの就職口がある。インフレへの懸念から、企業は直接雇用に慎重になり、派遣労働活用に動いている。一時的な職位を埋めたいという候補者が不足しているため、この戦略の実行が困難になっている。
8Agriculture, Forestry, Fishing & Hunting 農林漁業・狩猟  全体的な販売の減速状態が続き商品価格の高騰とインフレが芝生と観賞用部門からの肥料への消費者欲求に衝撃を与えていると考える。農家は、既に価格設定と天候関連の問題に因り、消費を削減している。
9Arts, Entertainment & Recreation 芸術、娯楽、気晴らし9月は、当社では、年間で最も活動の遅い月の一つで、非常に忙しくなる第 4 四半期に向け準備態勢に入り、当社サプライ チェーン内に緩和の兆しが見られる。
10Transportation & Warehousing 運輸・倉庫燃料の価格は、横這いか少しずつ下がっている。食品、飲料、建設資材、半導体チップなどの特定の製品については、依然、需給問題に直面している。大きな懸念は、中国の新型コロナウイルス症例に対するゼロコロナ政策だ。多くの企業が中国製品に依存しており、この政策により都市は閉鎖され続けている。これは受注残に大きな影響を与え、リードタイムの​​不確実性を生み出すことになろう。