2022年9月報告

3.おわりに:

企業統治「ガバナンス」について考えてみた。Corporate governanceは、日本語で「統治・支配・管理」と訳され、いわゆる企業でのガバナンスのことであり、健全な企業経営を行うために求められる管理体制の構築や企業の内部統治を指す。具体的には、取締役と執行役の分離、社外取締役の設置、内部統制やリスクマネジメントに特化した専門部署の設置、役割と指示系統を明確にする新たな仕組みづくりなどが挙げられる。企業とステークホルダーとが強固な信頼関係を築いていくためにも、ガバナンス体制を築き、強化していくことは重要と言わざるを得ない。

それでは、今、何故企業や組織において「ガバナンス」の必要性が増しているのだろうか。主な理由は三つある。

  • 情報の価値が向上してきていること。図らずも流出した際のリスクもより深刻になってきている。
  •  社内の情報が発覚し易くなったこと。情報化社会では、誰もが簡単に情報の発信者となれることから重要な情報(是非問わず)が社外に漏えいする可能性がある。
  • 企業統治の強化が企業価値の向上に繋がること。

社会的に優良企業として認められるようになると、従業員の意欲も高まり生産性が向上し、企業価値も高まる。この好循環を創り出していくためにも「ガバナンス」を重視される。

現下、多くの例が発掘されているので少し示すと、

  1. 大学の統治能力の失墜
  2. 東京五輪組織委員会の杜撰なガバナンス
  3. 関連会社の排ガスデータ改ざん不正行為、トヨタのコーポレートガバナンス問われている
  4. 第二のカルロス・ゴーンを生まない企業統治模索
  5. 「説明せず、説得せず、責任をとらず」民主主義の基本を無視する政党の「3S政治」

静岡県認定こども園での通園バス女児取り残され事件:執筆中に起こった事件では、幼稚園のガバナンスが無視されたため大切な命が奪われた。組織統治が不十分であったために起きた殺人事件だと言いたい。

統治を再度調べると、「すべおさめること、また主権者が国土・人民を治めること」となっている。特定の少数者が権力を背景として集団に一定の秩序を付与しようとすることで、政治とほぼ同義に用いられることが多い。厳密に言えば、統治は少数の治者と多数の被治者との分化を前提とし治者が被治者を秩序づけること。一方で政治は、少なくとも対等者間の相互行為によって秩序が形成されることを理想とする。旧い文献であるため国土や人民を企業と社員に置き換えると少しはよくわかる。

いずれにせよ、自身を律することが如何に重要であるかが問われる時代になってきた。

以下余白

月報編集室:主筆 上原 修 CPSM, C.P.M. JGA 特定非営利活動法人 日本サプライマネジメント協会