4. 中国の製造業景況感
財新/マークイットが1日発表した8月の中国製造業購買担当者景気指数(PMI)は49.5と前月の50.4から低下し、景況改善・悪化の分岐点となる50を3カ月ぶりに割り込んだ。市場予想の50.2も下回った。需要の鈍化に加え、電力不足や新型コロナウイルスの感染再拡大で生産に混乱が生じた。国家統計局が前日発表した8月の製造業PMIも50を割り込んでいた。シニアエコノミストは「経済は今年前半の広範なコロナ流行から依然緩やかに回復している。ただ、局地的な感染再拡大や厳しい熱波によってこの傾向が乱れて新たな下押し圧力が生じ、回復を脅かしている」と述べた。8月は生産が拡大したものの、伸びは小幅にとどまった。不動産部門の低迷を受けた需要鈍化、コロナ関連規制、南西部の電力使用制限を反映した。新規受注、新規輸出受注の指数は3カ月ぶりに50を割り込み、需要の弱さを示した。製造業者はコスト削減のため5カ月連続で人員を減らし、個人消費や消費者信頼感の重しになっている労働市場低迷を巡る新たな懸念材料となった。受注の減少を受けて原材料の購入も削減した。一方、2年2カ月にわたり上昇が続き利益を圧迫していた投入価格は小幅に下落し、明るい材料となった。上海市のロックダウン解除で景況感が改善した6月を除くと、3月以降50を下回っている。製造業者はコスト削減のため5カ月連続で人員を減らし、個人消費や消費者信頼感の重しになっている労働市場低迷を巡る新たな懸念材料となった。受注の減少を受けて原材料の購入も削減した。一方、2年2カ月にわたり上昇が続き利益を圧迫していた投入価格は小幅に下落し、明るい材料となった。新規受注は0.7ポイント改善し49.2となったが、生産と同じく2カ月連続で節目を下回った。企業の規模別でみると、中小零細企業の苦境が目立つ。8月は47.6となり、前月より0.3ポイント悪化した。大企業と中堅企業がそれぞれ0.7ポイント、0.4ポイント上昇したのとは対照的だ。同時に発表した8月の非製造業のビジネス活動指数は52.6だった。3カ月連続で境目の50を超えたが、7月から1.2ポイント低下した。新型コロナのまん延を防ぐ移動制限の厳格化や住宅市場の低迷でサービス業の景況感が悪化した。
※PMI(中国製造業購買担当者景気指数)は全国の製造業約820社の購買担当者を対象にしたアンケート調査。生産や受注について50を上回ると拡大,下回ると減少を示す。非製造業には建設,郵便,ソフトウェア,航空,鉄道,小売り,ケータリングが含まれる。
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