2022年9月報告

3. ユーロ圏景況感指数

S&Pグローバルが23日発表した8月のユーロ圏総合購買担当者景気指数(PMI)速報値は、49.2と2カ月連続で好不況の分かれ目となる50を下回り、2021年2月以来の低水準となった。生計費の上昇で家計は支出削減を迫られる一方、製造業は供給不足が打撃となった。7月の49.9から低下したが、ロイターがまとめた市場予想(49.0)はわずかに上回った。S&Pグローバルの経済ディレクターは、PMIについて「第3・四半期のユーロ圏経済が縮小していることを示している」と述べた。需要は2カ月連続で減少した。新規事業指数は47.7で7月の47.6をわずかに上回った。サービスPMIは50.2と前月の51.2から低下した。市場予想の50.5も下回った。サービス業の値上げ幅は縮小した。生産価格指数は59.9と62.1から低下したが、長期平均を大きく上回っている。専門家は新型コロナウイルス規制解除後のサービス業の回復が鈍化する一方、製造業は低迷が続いていると指摘した。製造業PMIは49.7と7月の49.8から低下し、20年6月以来の低水準となった。市場予想は49.0だった。総合PMIに反映される生産指数は46.5、前月は46.3。完成品在庫指数は53.3と52.5から上昇し、1997年半ばの統計開始以降で最も高い水準だった。需要が減少する中で企業が販売に苦労していることが浮き彫りになった。

※米国の金融情報サービス大手S&P グローバル(S&P Global Inc.)は、米ニューヨーク市に本拠を置く金融サービス企業。S&P グローバル・レーティングやS&P ダウ・ジョーンズ・インデックスなど、四事業体の親会社にあたる。旧社名はマグロウヒル・ファイナンシャル。S&P グローバルは金融サービス企業であるが、旧社名のマグロウヒルは出版社であり、金融サービス業との関係は、スタンダード&プアーズの買収以降となる。スタンダード&プアーズは、1906年にルーサー・リー・ブレイクが設立したスタンダード統計(Standard Statistics Bureau)と、1860年にヘンリー・ヴァーナム・プアーが創業したプアー出版(H.V. and H.W. Poor Co.)が、1941年に合併して発足した。1966年、マグロウヒルはスタンダード&プアーズを買収し、以降、出版社が金融サービス業を子会社の事業として抱える形態が続いた。1995年に社名をThe McGraw-Hill Companiesに変更。2009年12月にブルームバーグにビジネスウィーク誌を売却した。2013年5月1日に、マグロウヒルはマグロウヒル・ファイナンシャルに社名変更、2016年4月、子会社のJDパワーを売却、またS&P グローバルに社名変更した 。