2022年7月報告

5. 内閣府景気ウォッチャー調査

6月の現状判断DI(季節調整値)は、前月差1.1ポイント低下の52.9となった。家計動向関連DIは、サービス関連が上昇したものの、住宅関連等が低下したことから低下した。企業動向関連DIは、非製造業等が低下したことから低下した。雇用関連DIについては、低下した。6月の先行き判断DI(季節調整値)は、前月差4.9ポイント低下の47.6となった。家計動向関連DI、企業動向関連DI、雇用関連DIが低下した。なお、原数値でみると、現状判断DIは前月差0.8ポイント低下の51.8となり、先行き判断DIは前月差2.1ポイント低下の49.2となった。今回の調査結果に示された景気ウォッチャーの見方は、「景気は、緩やかに持ち直している。先行きについては、緩やかな持ち直しが続くとみているものの、ウクライナ情勢等に伴う影響も含め、コスト上昇等に対する懸念が強まっている。」とまとめられる。

※地域の景気に関連の深い動きを観察できる立場にある人々の協力を得て,地域ごとの景気動向を的確かつ迅速に把握し,景気動向判断の基礎資料とすることを目的とする。調査は毎月,当月時点であり,調査期間は毎月25日から月末である。本調査業務は,内閣府が主管し,下記の「取りまとめ調査機関」に委託して実施している。各調査対象地域については,地域ごとの調査を実施する「地域別調査機関」が担当しており,「取りまとめ調査機関」において地域ごとの調査結果を集計・分析している。

2.サプライチェーン関連記事抜粋:令和4年6月1日~6月30日

※後段に関連する専門用語と企業名を詳述している。

 主題概要
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9半導体2強:台湾TSMC 蘭ASML進む技術支配 先端品で協力 追随許さず
10東芝取締役に物言う株主非公開化の再編交渉主導 批判の社外取締役辞任

≪用語解説:記事内の用語と企業、統計図表を確認しましょう≫

半導体2強
自動運転など次世代技術の核心となる先端半導体の製造が、世界でたった2つの企業に独占され始めている。台湾TSMCとオランダの半導体製造装置大手のASMLだ。両社がいなければ、もはや先端製品が生まれない状況にさえなりつつある。世界に備えはあるのか。技術覇権を激しく争う米中にも大きな影響を及ぼすのは必至だ。
ASML Holding N.V.
オランダ南部・フェルトホーフェンに本部を置く半導体製造装置メーカー。半導体露光装置(ステッパー、フォトリソグラフィ装置)を販売する世界最大の会社で、16カ国に60以上の拠点を有し、世界中の主な半導体メーカーの80%以上がASMLの顧客である。IDMやファウンドリなどの半導体メーカーは、ムーアの法則に従い、製造するIC(集積回路)を年々微細化する。ICの製造工程では、30から40回シリコンウェハーに露光するため露光機の性能がICの性能を左右すると言っても過言ではない。その為、ASMLは継続的に研究開発を行っている。ASMLは液浸の採用によって2003年以降、躍進した。また、ASMLは2020年現在、世界唯一の極端紫外線リソグラフィ(EUVL)装置メーカーである。同装置は7nmノード以下の露光が可能である。同装置の価格は1台当240億円に達する。光学系は前からカール・ツァイスが供給し、蛍石や石英がレンズに使用されている。近年では反射鏡を組み合わせた光学系もある。技術をアウトソーシングする戦略は、国内外からオープンイノベーションの成功例とも評価された。売上高ベースで2019年のASML露光装置の世界シェアは81.2%。1996年は日本のニコンが約50%弱、キヤノンが約25%のシェアを獲得していた。ASMLは同ベースで2002年に初めて1位となり、2005年以降ニコンを完全に抜いた。