4. 中国の製造業景況感
財新/マークイットが1日発表した5月の中国製造業購買担当者景気指数(PMI)は48.1と、26カ月ぶりの低水準だった前月の46.0から上昇した。新型コロナウイルス規制が緩和され、生産が一部再開したことを受けた。ただ、5月は2020年2月以降で2番目に低い水準だった。調査対象企業は生産の落ち込みについて、コロナ規制の影響や顧客需要の低迷を挙げた。新規受注指数は3カ月連続で50を下回ったものの、前月から上昇した。新規輸出受注指数も上昇したが、10カ月連続で50割れとなった。一部企業はコロナ流行、製品輸送上の困難、ウクライナ戦争を受注低迷の理由とした。財新智庫のシニアエコノミストは指標発表文に付随した文書で「大部分のサブ指数と異なり、50を割っている雇用指数は5月に更に低下した。最近のコロナ感染拡大による悪影響は20年当時を上回っているかも知れない。政策当局者は雇用と物流に目を向ける必要がある」とした。サプライヤーの平均納期は5月も長期化したものの、物流の途絶は4月時点ほど大規模ではなかった。企業信頼感を示す指数はコロナ規制やウクライナ戦争への懸念から5カ月ぶりの低水準となった。
※PMI(中国製造業購買担当者景気指数)は全国の製造業約820社の購買担当者を対象にしたアンケート調査。生産や受注について50を上回ると拡大,下回ると減少を示す。非製造業には建設,郵便,ソフトウェア,航空,鉄道,小売り,ケータリングが含まれる。
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