2022年6月報告

1. 米製造業景況感指数:製造業回答者の声

Manufacturing PMI® at 56.1%

May 2022 Manufacturing ISM® Report On Business®

  • New Orders, Production and Backlogs Growing at Faster Rates

新規注文、生産、受注残は急速に増加基調

  • Employment Contracting; Supplier Deliveries Slowing at a Slower Rate

雇用は縮小;サプライヤー出荷は緩慢な遅れ

  • Raw Materials Inventories Growing at a Faster Rate; Customers’ Inventories Too Low

原材料在庫は急速に増加;顧客在庫過少

  • Prices Increasing at a Slower Rate; Exports Growing at a Faster Rate; Imports Contracting

価格は緩慢な上昇基調;輸出は急速な増加;輸入は縮小

  • Record-Long Lead Times for Capital Expenditures

設備投資は記録的な長納期

【解説】米サプライマネジメント協会(ISM)が1日発表した5月の米製造業景況感指数は56.1で前月から0.7ポイント上昇した。需要が堅調で製造業の拡大が持続した。

「新規受注」、「生産」、「在庫」が改善し全体を押し上げた。「新規受注」が55.1で1.6ポイント上昇したほか、「生産」は54.2で0.6ポイント、「在庫」は55.9で4.3ポイントそれぞれ上向いた。ISMは「需要に関して企業は極めて楽観的だ」と指摘した。

一方、「雇用」は49.6で1.3ポイント低下し、9カ月ぶりに縮小圏となった。労働者の採用・維持の難しさを反映したとみられる。ただし、ISMによると、企業コメントからは、全般的な人手不足の改善が読み取れるという。供給網の目詰まりを示す「入荷遅延」はわずかに緩和したが65.7と依然高く、「(仕入れ)価格」も2.4ポイント下がったが82.2で高止まりしたままだった。今後は国内需要の減速、ドル高による輸出減などで生産が弱まる可能性が高いとして5月の指数上昇は持続的な回復の始まりではないとの見方を示した。

ISM製造業調査委員会のティモシー・フィオレ委員長は、統計資料で、「米製造業セクターを囲む環境は依然として需要主導型であり、サプライチェーンの問題に抑制されている」と指摘。「需要に関するセンチメントはなお非常に楽観的で、成長について慎重なコメント1つに対して、5つの前向きなコメントが残された」と説明した。統計では労働力や入荷遅延、資材不足に関連した生産能力の問題が長引いている状態も浮き彫りになった。雇用の指数は2020年11月以来の50割れとなった。入荷遅延の指数は多少下げたものの、依然として高い水準にある。新規受注は3カ月ぶりの高水準となった一方、生産の伸びは小幅に抑えられた。受注残の数字も上昇した。5月は15業種が活動の拡大を報告。衣料や印刷、機械が率いた。在庫の指数は昨年11月以来の水準に上昇。物流環境が依然厳しい中で、企業は完成品在庫の確保に務めている。一方で顧客在庫は3カ月ぶりの急ピッチで縮小しており、受注の増加を裏付けている可能性があると同時に、一部小売業者で在庫のだぶつきが解消されている状況を示している。仕入れ価格は前月から下げたものの、依然として高い水準にある。原油および石油製品の価格上昇が続いている一方、アルミニウムなど一部商品の価格は軟化した。 

米ISM製造業景況感指数
製造業約350社の購買担当者に対し受注や生産状況をアンケート調査により聞き取りし、月初めの第1営業日(その2日後に非製造業を公表)に公表している統計。日本の企業短期経済観測調査(日銀短観)に似た統計といえます。米主要統計の中でも最も早く月初めに発表されるため、市場関係者の注目度が高く、景気の先行指標とされています。一般に好不況の判断の境目とされる50%を割れると景気後退で、50%を超えると景気拡大と判断されます。GDPとの関連性を持たせるために2008年1月分の統計より算出方法が変更され、現在は「新規受注・生産・雇用・入荷遅延・在庫」の5項目(比率はそれぞれ20%)につき、「増加、同じ、減少」の回答結果をもとに算出する。民間調査機関13社の予測値(中心値)が前もって出回るので、リリース時にはそのギャップも重要になります。

製造業回答者の声WHAT RESPONDENTS ARE SAYING …

1Chemical Products 化学製品注文は引き続き堅調で、受注残も存在するが、主要指標型の顧客、事業単位向けの予測注文は軟化している。
2Transportation Equipment 輸送機械半導体の課題は緩和されず、寧ろ中国の新型コロナウイルス疫病流行による都市封鎖により、状況は悪化している。
3Food, Beverage & Tobacco Prod 食品・飲料・煙草投入原価、特に穀物、石油、乳製品、蛋白質は、小売業と外食産業で転嫁できるよりも早く上昇し、解消の目途が立っていない。
4Fabricated Metal Products 金属加工製品上海は3月中旬から都市閉鎖された。全ての住民が監禁され、生産や港湾活動も停止。鉄鋼は割り当てられた状態で、電子機器の納期は12か月を越えている。
5Plastics & Rubber Products プラスチック・ゴム製品価格上昇はやまない。2022年は、もっと良くなるだろうと思っていたが、そうではなかった。 (他の問題の中でも)品不足は依然サプライチェーンを混乱させている。
6Machinery 一般機械当社の注文書は、依然強力で、材料価格は上昇を続け、燃料と輸送がコストの増加に対する根本的な影響として指摘される。  
7Miscellaneous Manufacturing その他の製造サプライチェーンの問題により、リードタイムが劇的に延長され、当社の生産ラインは、今月、毎週、生産率を完了するに必要な部品が不足し、または、落ちている。
8Computer & Electronic Products  コンピューター・電子製品サプライヤーは、(半導体)部材の供給を回復するため、トンネルの終わりに光を見ている;苦しみの後に見えてくる光。第2四半期と第3四半期の供給は緩んでいるようだ。
9Paper Products   紙製品当社は、海洋船舶を避けるため北米の販売に移行し続け、西海岸の港湾労働契約交渉に懸念を抱いている。鉄道でより多くのビジネスを行う上での課題は、鉄道車両と出入港禁止措置(エンバーゴ)の未処理分である。
10Primary Metals   一次金属ビジネスは安定し、交替勤務を統合し、営業時間外に機器保全をしており、これはうまく機能している。