2022年5月報告

4. 中国の製造業景況感

5日に発表された財新の4月中国サービス部門購買担当者景気指数(PMI)は36.2と前月の42から低下し、2005年11月の統計開始以降2番目に低い水準となった。新型コロナウイルス関連規制に圧迫され、新規事業や雇用が大幅に減少した。過去最低は新型コロナのパンデミック(世界的大流行)初期に当たる20年2月の26.5。PMIは50が景況改善・悪化の分岐点となる。中国国家統計局が発表した4月の非製造業PMIも同様の弱さを示していた。

財新のPMIでは新規事業指数も前月の45.9から38.4に落ち込み、過去2番目に低い水準を記録した。企業からは規制強化で需要が大きく圧迫されたとの声が聞かれた。雇用指数は4カ月連続で50を下回った。

一方、投入価格は堅調な伸びを示した。ただ需要が弱い中、顧客を取り込もうとする取り組みで販売価格は低下。コスト面での圧力が高まっていることが浮き彫りになった。

製造業とサービス業を合わせた総合PMIは37.2で、前月の43.9から低下した。シニアエコノミストはコロナの影響やインフレ圧力に言及し、市場の信頼感を安定させるため、打撃を受ける企業への支援拡大が必要だと指摘した。

※PMI(中国製造業購買担当者景気指数)は全国の製造業約820社の購買担当者を対象にしたアンケート調査。生産や受注について50を上回ると拡大,下回ると減少を示す。非製造業には建設,郵便,ソフトウェア,航空,鉄道,小売り,ケータリングが含まれる。

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