2022年4月報告

3. ユーロ圏景況感指数

S&Pグローバルが1日に発表した3月のユーロ圏の製造業購買担当者景気指数(PMI)改定値は56.5で、前月の58.2から低下し、14カ月ぶりの低水準だった。速報値の57.0から下方修正された。ロシアのウクライナ侵攻を受けて、サプライチェーンの目詰まりが悪化、需要も減退し、信頼感も低下した。エネルギー価格の上昇を背景に、幅広い物価高騰が起きている。侵攻に伴う不透明感と市民の生活費の急上昇を受けて、ユーロ圏の製造業は今四半期にリセッションに陥る可能性があるとみられている。生産指数は53.1で、前月の55.5から低下し、新型コロナウイルス流行の初期に当たる2020年6月以来の低水準となった。S&Pグローバルのチーフビジネスエコノミストは「侵攻前は、コロナ流行の直近の波が後退して経済が再開、供給網の目詰まりも緩和するなど、ユーロ圏製造業に追い風が吹いていた。ところが、ウクライナ戦争が逆風を作り出した」と述べた。同エコノミストは「企業は経済成長の鈍化に身構えている。将来の生産予測は3月に悪化した。企業は戦争が経済に及ぼす影響に対する懸念を強めている。経済は未だコロナ禍から立ち直っていない」と述べた。

※民間企業であるマークイット社が発表するユーロ圏製造業購買担当者景気指数(PMI)とは,景気転換の先行指標であり,製造業の購買担当者へのアンケート調査をもとに指数化したもの。数値が前回より上回った場合,対象国の通貨は買われやすくなる。ESI(欧州委員会景況感指数)は企業や消費者のマインドを表し,国内総生産(GDP)と似た動きを示す代表的な景気指標である。同指数は50が活動拡大と縮小の分かれ目。