2022年4月報告

1. 米製造業景況感指数:製造業回答者の声

Manufacturing PMI® at 57.1%

March 2022 Manufacturing ISM® Report On Business®

  • New Orders, Production, & Employment Growing 新規注文、生産、雇用は全て増加
  • Supplier Deliveries Slowing at a Slower Rate; Backlog Growing サプライヤー出荷は緩慢な遅れ;受注残は増加
  • Raw Materials Inventories Growing; Customers’ Inventories Too Low原材料在庫増加;顧客在庫過少
  • Prices Increasing; Exports and Imports Growing 価格上昇;輸出入増加

【解説】米サプライマネジメント協会(ISM)が1日発表した3月の米製造業景況感指数は57.1で前月から1.5ポイント低下した。2カ月ぶりの低下で、2020年9月以来1年6カ月ぶりの低さとなった。供給網の乱れが続く中で、需要が弱まった。ダウ・ジョーンズまとめの市場予測(59.0程度)を下回った。個別項目は「新規受注」が53.8で7.9ポイント低下したほか、「生産」も54.5で4.0ポイント下がった。一方、「雇用」は56.3で3.4ポイント上昇した。企業は採用が上向き、離職や早期退職も減ってきたと報告しており、労働者不足の解消にむけ前進がみられた。「価格」は87.1で11.5ポイント急上昇した。ISMは、ロシアのウクライナ侵攻に伴う国際エネルギー市場の変動が主な要因と指摘。「鉄製品の値上がりとエネルギー価格の急騰で変異型オミクロン型流行の収束後にやわらいでいた全般的な価格上昇が再び始まった」と分析した。回答企業からは、供給網の乱れの悪化を伝える声も聞かれた。ある製造業者は「材料が入手できず供給業者は見積もりも注文もとってくれない。価格は毎日上がっている」と苦境を報告した。ISMは、海外業者らが受けているオミクロン型流行の影響が今後さらに広がり、逆風となる可能性があると指摘した。

米ISM製造業景況感指数
製造業約350社の購買担当者に対し受注や生産状況をアンケート調査により聞き取りし、月初めの第1営業日(その2日後に非製造業を公表)に公表している統計。日本の企業短期経済観測調査(日銀短観)に似た統計といえます。米主要統計の中でも最も早く月初めに発表されるため、市場関係者の注目度が高く、景気の先行指標とされています。一般に好不況の判断の境目とされる50%を割れると景気後退で、50%を超えると景気拡大と判断されます。GDPとの関連性を持たせるために2008年1月分の統計より算出方法が変更され、現在は「新規受注・生産・雇用・入荷遅延・在庫」の5項目(比率はそれぞれ20%)につき、「増加、同じ、減少」の回答結果をもとに算出する。民間調査機関13社の予測値(中心値)が前もって出回るので、リリース時にはそのギャップも重要になります。

製造業回答者の声WHAT RESPONDENTS ARE SAYING …

1Chemical Products 化学製品大幅な値上げに直面して顧客の注文は活況を呈する一方で、国内のサプライヤーサービスと原材料の入手可能性の問題と引き続き戦っている。
2Transportation Equipment 輸送機械一般的に航空宇宙部品メーカーの事業環境は徐々に改善している。サプライチェーン寸断と依然延長されているリードタイムは、購買を忙しくさせている。これにより、今年度の事業計画と原価推定が一層再評価されることになる。
3Food, Beverage & Tobacco Prod 食品・飲料・煙草国内輸送と国際輸送の両方で、全体的な事業条件は困難を極めている。ロシアのウクライナ侵攻は穀物市場に不確実性をもたらし、価格上昇圧力を引き起こした。加えて、全製品分野に亘るインフレ圧力により、コストと収益性の管理が課題となっている。
4Fabricated Metal Products 金属加工製品新型コロナウイルスの減速に起因する延滞注文を出荷するので受注残は引き続き堅調だ。
5Computer & Electronic Products コンピューター・電子製品サプライチェーンの課題、特に電子部品は未だ減速がない。益々仲介者ブローカー市場に依存している。
6Primary Metals 一次金属サプライチェーンは依然不安定で、当社も改善を見てきたが、多くの未解決問題が残っている。
7Furniture & Related Products        家具・関連商品景気は引き続き堅調で、売上高は増加するも、当社は、依然として可用性とインフレという労働力と材料課題と戦っている。ロシアのウクライナ侵攻の衝撃を依然として見定めている。
8Machinery 一般機械先月の高値から僅かに下落した後、鉄鋼と鉄鋼製品の価格は上昇している。燃料価格の上昇に伴い、輸送費は大幅に上昇している。
9Miscellaneous Manufacturing その他の製造仕入れ状況は益々悪化しており、納期は12か月を越え、材料は入手できず、サプライヤーは見積り作業も注文も受け付けない。価格は毎日上昇している。
10Electrical Equipment, Appliances & Components 電気機器・電化製品と関連部材需要は引き続き底堅い。受注残は増え続け、現在、生産から約3か月だ。購入材料の入手可能性が生産を制約し、受注残の増加を引き起こしている。