2022年4月報告

4. 中国の製造業景況感

財新/マークイットが1日発表した3月の中国製造業購買担当者景気指数(PMI)は48.1と、2020年2月以来約2年ぶりの低水準を記録した。国内の新型コロナウイルス感染拡大やウクライナでの戦争による経済への影響で生産と需要が急激に落ち込んだ。2月は50.4だった。

PMIは50が景況改善・悪化の分岐点となる。

中国国家統計局が31日発表した3月の製造業PMIも50を割り込み、21年10月以来の低水準を記録した。エコノミストは、「二つのPMIは、今や50を下回り、最初のコロナ禍が起きた2020年は別として、2016年2月以来の低水準だ。調査対象の構成を踏まえ、財新PMIの低下幅の方が大きかったのは、中小民間企業や輸出業者で景況感悪化がより深刻なことを示す」と述べた。

財新/マークイットの3月PMIでは内需と外需がともに減少。PMIを構成する新規受注指数も、中国がコロナの第1波に襲われていた20年2月以来の低水準となった。最近のコロナ感染拡大や海運部門の混乱、ウクライナ危機を巡る不透明感が注文のキャンセルや停止につながり、とりわけ新規輸出受注の減少ペースが加速した。投入コストは5カ月ぶりの高水準を記録。ウクライナ危機で世界のサプライチェーン(供給網)が一段と逼迫したことなどが背景。上海や深センなど主要都市でコロナ規制が敷かれる中、生産指数は46.4に低下。こちらも20年2月以来の低水準となった。

一方、雇用指数は8カ月ぶりに50を上回った。旧正月の連休後に企業が採用を拡大した。

財新智庫のシニアエコノミストは「ロシアとウクライナの戦争の見通しは不透明で、商品市場は不安定になっている。中国が20年初め以来の深刻な感染の波に直面する中、海外でも不透明感が高まった」と指摘。様々な要因により中国経済の下押し圧力が強まっており、スタグフレーションリスクを示していると語った。その上で、脆弱な部門や小規模企業への支援拡大が必要とし、当局は正常な生産、公衆衛生、安全性の維持に向けバランスが取れた対応が求められるとした。

※PMI(中国製造業購買担当者景気指数)は全国の製造業約820社の購買担当者を対象にしたアンケート調査。生産や受注について50を上回ると拡大,下回ると減少を示す。非製造業には建設,郵便,ソフトウェア,航空,鉄道,小売り,ケータリングが含まれる。

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