2022年3月報告

3.おわりに:

最近様々な報道からサプライチェーンに関する記事を読むことが多くなった。次の記事は日本政府の対策であり少しばかり遅いが漸く腰を上げたとして考えてみたい。

『日本政府はサプライチェーンから、労働者の人権侵害をなくすための指針をつくる。経済産業相が記者会見で表明した:企業が調達や製造の協力先で強制労働などが行われていないかどうかを調べ、予防するための具体策を明示するという。こうした取り組みを「人権デューデリジェンス(DD)」といい、国際的には企業に法律で義務づける流れだ。取り組みが遅れると、日本企業の信頼性にも影響する。企業も自ら供給網の実態をつぶさに点検し、人権尊重に努めるべきだ。欧米企業では1990年代から、アジアの製造拠点での低賃金・児童労働が、消費者や投資家から度々批判されてきた。このため現在は人権DDを取引先にも求める企業が少なくない。2月23日には欧州連合(EU)が違法な児童労働などの監視を域内企業に義務づける法案を公表した。もはや、人権はビジネスと切り離せない問題である。日本政府は2020年に「『ビジネスと人権』に関する行動計画」を策定し、企業に取り組みを促し始めている。しかし、曖昧な部分が多く、企業に十分に広がっているとは言いがたい。経済産業省と外務省が21年11月に公表した調査では、人権DDを実施している企業は回答社数の約50%に留まった。「方法が分からない」などとする声が多かったことが、政府が指針づくりに着手する背景の一つだ。先進企業の間では、人権問題に取り組む非政府組織(NGO)の力を借りて通報体制を整備する、といった動きがある。こうした体制を外部に開示し、第三者の監査を受けるのも一案だ。合法で安全な労働環境の提供は、企業の社会的な責任である。本来、命じられて取り組むものではない。企業は政府指針を待つことなく、透明で有効性ある人権保護の仕組みを作って欲しい。』

日本人の気質かも知れないが、一般企業でも何か重大なことを決める際、必ずや周辺の状況を気にする。つまり単独で決めきれず周りの決定を見てそれに倣うというやり方だ。現下の東欧の戦禍にしても何をどのように誰に対して支援するかに迷っている官民団体が多い。これは戦前からのものか、それとも終戦後、日本人が自信をなくして戸惑うようになったのか、子孫のためにも自分ではっきり考えを述べるという教育の重要性を再考したい。

以下余白

月報編集室:主筆 上原 修 CPSM, C.P.M. JGA 特定非営利活動法人 日本サプライマネジメント協会